ASEANとロシア、エネルギー協力を強化、カザンで首脳会議
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール、ロシア)
ジャカルタ発
2026年07月03日
ASEANとロシアは6月18日、ロシア中部カザンで関係樹立35周年を記念するASEAN・ロシア記念首脳会議を開催し、「カザン宣言2026」を採択した(6月18日付ASEAN事務局発表
)。同首脳会議では、このほかエネルギー協力共同声明、文化協力共同声明、「2026~2030年の戦略的パートナーシップ実施のための包括的行動計画」を含む4文書が採択された。
カザン宣言では、1991年の関係樹立以降、政治対話・安全保障、貿易・経済協力、科学、情報通信技術(ICT)、エネルギー・輸送、農業・食料安全保障、観光、文化協力、人的交流など幅広い分野で成果があったとした。その上で、ASEAN・ロシア首脳会合やASEAN拡大外相会議などのハイレベル対話を維持し、戦略的パートナーシップを進展させる方針を確認した。
経済面では、エネルギー、食料安全保障、輸送・物流、農業、デジタル化、科学技術、人工知能(AI)、観光、創造産業などの重点分野で協力を深化させる。また、ASEANとユーラシア経済連合(EAEU)、上海協力機構(SCO)との連携強化を支持すると明記した。
特にエネルギー分野では、同日に採択された「ASEAN・ロシアエネルギー協力共同声明
」で、安全で、手頃な価格かつ信頼性が高く、持続可能なエネルギーシステムが、ASEANの成長、強靭(きょうじん)性、ASEAN共同体ビジョン2045の実現にとって極めて重要だとした。また、地政学的緊張、サプライチェーンの混乱、市場変動による世界的なエネルギー不安の高まりが、地域の安定、経済的強靭性、持続可能な開発に直接的な影響を及ぼしているとして懸念を表明した。
同共同声明は、エネルギー供給の確保と多角化に向けた協力を強化し、石油、ガス、液化天然ガス(LNG)、電力分野での貿易、投資、長期的な商業パートナーシップを拡大するとした。あわせて、危機対応力を高めるため、調整強化、情報共有、共同研究を進め、戦略備蓄や備蓄慣行の改善に向けた協力を模索する。さらに、再生可能エネルギー、水素、原子力、天然ガス・LNG、排出削減・除去技術を伴う化石燃料、エネルギー効率、低炭素技術など、エネルギー移行分野での協力拡大も盛り込んだ。
こうしたエネルギー協力強化の背景には、中東情勢の緊迫化に伴う燃料供給への懸念がある。シンガポールのメディア「CNA」は4月24日、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナム、ミャンマーがロシア産石油・ガスの購入に関心を示している、と報じた。フィリピンは5年ぶりにロシア産原油を購入した(3月26日付「ロイター通信」)。インドネシアもロシア産原油の輸入契約を準備しており、2026年末までに段階的に購入する方針を示している(6月25日「アンタラ」)。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール、ロシア)
ビジネス短信 6b620edb22360966





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