欧州委、第4回「デジタル化の10年の現状」報告書を公表、目標達成への課題を指摘

(EU)

調査部欧州課

2026年07月03日

欧州委員会は6月17日、2030年のデジタルトランスフォーメンション目標に対する進捗状況を示す第4回「デジタル化の10年(Digital Decade)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの現状」報告書(2026年版)を公表した。報告書では、欧州が安全で持続可能なデジタルインフラの整備や、公共サービスのデジタル化などの分野で着実な前進を遂げていることを示す一方、目標達成への課題は、大規模かつ迅速、かつ一貫性を持って成果を上げることだと指摘している。

同報告書では、(1)インフラ、(2)企業のデジタル化、(3)デジタルスキル、(4)行政サービスのデジタル化、といった分野を包括的に評価している。基盤整備の面では、96.8%の世帯が基本的な5Gの通信エリアをカバーされている一方で、光ファイバーの敷設は遅れをとっている。企業では46.7%がクラウドを利用し、20%近くが人工知能(AI)を活用する。たとえば医療分野では、AIを活用した医療画像診断により、早期発見の向上、診断の迅速化、さらに患者の治療成果の改善につながっている。また、欧州市民の60%以上が少なくとも基本的なデジタルスキルを身につけているなど、前向きな進展も確認された。

一方、いくつかの重要な分野での遅れを指摘している。半導体では、欧州企業による2030年の全世界における市場シェア20%の目標に対して9%にとどまり、デジタル・AI時代を支える計算能力は需要に大きく遅れをとっている。サイバーセキュリティー分野では、EU域外のサイバーセキュリティー企業に依存し、欧州企業の存在感は低い。また、ICT(情報通信技術)スキルに関しては、専門家不足も課題で、2025年の雇用に占める専門家の割合はわずか5%にとどまる。これは2030年の目標である10%の半分となっている。

今後の課題として、政策実行の「規模」「速度」「実行性」の強化が必要と強調した。具体的には、欧州デジタルインフラコンソーシアム(EDIC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます欧州共通重要プロジェクト(IPCEI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど成功したプロジェクトの拡大、加盟国間の協調強化、資金供給の継続性などを通じて、より効果的な実施体制を構築することなどだ。

また報告書では、加盟国に対し、2026年末に予定される国家レベルのデジタル・ロードマップの更新において、具体的な改革措置と投資計画を盛り込み、これらの課題に対応するよう求めている。

(坂本裕司)

(EU)

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