イースト・アフリカン・ブリューワリーズ、最高裁に司法の対応迅速化を要求
(ケニア、タンザニア、ウガンダ)
ナイロビ発
2026年07月03日
現地報道によると、東アフリカ酒造大手イースト・アフリカン・ブリューワリーズ(EABL)は6月23日、ケニア最高裁判所マーサ・クーム長官に書簡を送付し、英酒造大手ディアジオからアサヒグループへの株式売却を巡る一連の訴訟について、司法対応の整理と迅速化を求めた〔「ケニアン・ウォール・ストリート」(6月24日付)などの複数メディア〕。複数の裁判所で同様の申し立てが相次ぐ「フォーラムショッピング(forum shopping、注)」が横行し、取引の進行が妨げられていると強い懸念を表明したという。6月29日時点で、クーム最高裁判所長官が本件について何らかの回答を行ったとの報道は見当たらない。
2025年12月に発表されたアサヒグループによるEABL株式65%の取得計画は、その後4件の法的異議申し立てに直面してきた。流通業者ビア・トシャや建設会社JILK、少数株主・投資家らによる差し止めの申し立てはそれぞれ4月9日、6月18日、22日にナイロビ高等裁判所で退けられたものの、同様の主張を別の裁判所で繰り返す動きが続いている。
また、ナイロビ高裁がJILKの申し立てを棄却した同日に、別の申立人によってマチャコス高等裁判所に新たな訴えが提起された。ケニアの競争当局、ディアジオ・ケニアなど6者を被告とするこの訴訟において、マチャコス高裁は保全命令を出し、当事者全員に対し、取引完了に向けたいかなる行動もとることを禁じた。
アサヒグループによるEABL株式取得は総額約30億ドルにのぼる大型M&Aで、同社にとって初の本格的なアフリカ進出となる。EABLは1922年創業で、ケニア、ウガンダ、タンザニアに展開する東アフリカ最大の酒類企業だ。ケニアでは「タスカー」などでビール市場において圧倒的な地位を占め、ウガンダでも「ベル」、タンザニアでは「セレンゲティ」が主力ブランドとして高いシェアを確保している。
(注)フォーラムショッピング(forum shopping)とは、ある紛争案件について複数の国や地域に裁判管轄が認められる見込みがある場合に、原告が自分に有利な判決が出される可能性がある国の裁判所に訴訟提起する訴訟戦術のことを指す。
(佐藤丈治)
(ケニア、タンザニア、ウガンダ)
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