西シドニー国際空港で貨物運航開始、2空港体制で物流網を強化

(オーストラリア)

シドニー発

2026年07月28日

シドニー西部の西シドニー国際空港(Western Sydney International Airport:WSI)は7月26日、貨物事業を開始した(旅客向け事業は10月開始予定、2025年12月4日記事参照)。翌27日から国内定期貨物便の運航を開始し、11月1日以降はシドニー空港の夜間発着制限に伴う貨物便も順次移行する予定だ。シドニーでは初めて24時間運用が可能な航空貨物拠点が本格稼働し、既存のシドニー空港と役割を分担する体制の構築が進む。WSIの貨物地区は開業時点で年間27万トン以上の貨物処理能力を有し、将来的な需要拡大にも対応できる設計となっている。

西シドニーでは近年、人口増加や高速道路網の整備を背景に、物流・配送機能の集積が進む。シドニーに本社を構える物流不動産大手のイーエスアール(ESR)はジェトロの取材(2026年7月23日)に対し、「物流、電子商取引、製造業、サプライチェーン関連企業から継続的な需要があり、空港開業を見据えた顧客の関心も高まっている」と説明した。同社はWSI周辺の物流拠点ケンプス・クリークで、62ヘクタールの敷地に延べ床面積約34万平方メートル(東京ドーム約7個分)の物流施設を開発している。

ESRは、24時間運用のWSIと周辺交通インフラの整備により、顧客や物流ネットワークへの接続性が向上すると指摘した。迅速な貨物輸送や大規模施設を必要とする幅広い企業の立地を後押しし、ケンプス・クリークやエアロトロポリス(2023年11月1日記事参照)では物流・産業拠点としての地位強化につながると見込まれる。

貨物ハンドリングを担うメンジーズ・アビエーション(Menzies Aviation)はジェトロの取材(2026年7月24日)に対し、「新施設は同社のオセアニア・東南アジア地域で最大の単一貨物倉庫となり、医薬品などの温度管理貨物、電子商取引貨物、重量貨物など幅広い貨物を取り扱う」と説明した。航空機運用エリアへの直接アクセスを備えた施設構造により、貨物を航空機と倉庫の間で効率的に搬送できるほか、高度な荷役設備と24時間運用を組み合わせることで、輸出企業や航空会社、フォワーダーは時間帯や貨物特性に応じた柔軟な輸送体制を構築しやすくなる。

また同社は、WSIと既存のシドニー空港との2空港体制により、航空会社やフォワーダーは運航時間帯や路線、貨物処理能力の選択肢が広がると説明した。特にアジアや中東市場へのアクセス向上により、利用企業が24時間運用を生かした柔軟なサプライチェーンを構築できることが期待される。WSIの貨物便運航開始により、西シドニーでは物流施設、道路網、航空貨物を組み合わせた物流拠点の運用が段階的に進む。

(ストーリー愛子)

(オーストラリア)

ビジネス短信 618ee1af7dafc729