2026年開港の西シドニー空港、日本企業向けにターミナル内を初公開

(オーストラリア)

シドニー発

2025年12月04日

ニューサウスウェールズ(NSW)州で、2026年開港予定の西シドニー空港の第1ターミナルが11月24日、日本企業向けに初めて公開された。ブラッドフィールド開発公社(BDA)が、UR都市機構との協力により、ブラッドフィールド・シティセンター(BCC)や先端製造業研究施設(AMRF)の視察を通じて、開発の進捗状況を紹介した。これは、同公社による海外誘致キャンペーンに先立って実施された体験イベントの一環で、NSW州内外から日系企業など約70社約100人が参加した。

100年以上ぶりの新都市開発計画となる西シドニー開発(エアロトロポリス)には、2018年の計画発表以来、国内外から多くの関心を集めてきた。参加者がひと足早く渡航者としての疑似体験をするかたちで、公社の案内に従って空港内施設を見学した。

24時間体制で運営するターミナルでは、チェックイン用のキオスク(パスポートの読み取り機器)は、航空会社を問わず利用することができる。そのため、旅行客は長い列に並ぶ必要がなく、渡航前のストレスが軽減される。また、預け入れ荷物には、チップを内蔵したタグが発行されることで、紛失することなく管理できる。さらに、セキュリティゲート通過後、搭乗口の近くには、祈祷(きとう)室やペットリリーフ室も完備するほか、国際線と国内線の間仕切りは、移動かつ可変式のため、時間帯や発着便数によって、ゲートを共有することが可能だ。空港関係者によれば、多様かつあらゆる人々に開かれた空港を具現化している。

さらに、オーストラリアの空港としては珍しく、大きなガラス窓越しに広い緑地を望める場所に国際線の到着ゲートが構えられた。オーストラリアで初めて、航空管制塔を設置しないリモート統制方式を採用しており、一望する景色からは、広大なオーストラリアへの入口としての印象を得ることができる。また、到着後の荷物ターンテーブルについては、1台あたりの規模を大きくすることで、複数便で共有できる仕組みを採用している。これにより旅客がどのターンテーブルに向かえばよいか迷いにくくなるよう配慮されている。

今後は、現在完成しているターミナル1に加え、利用者の増加に従い、ターミナル4までの拡張建設、滑走路の増設も予定されている。やがては、シドニー空港との比較で敷地は2倍にあたる1,800ヘクタールを確保し、輸送力は4倍に増強する見込みだ。

ターミナル内の壁材にはニューサウスウェールズ州沿岸部で広く見られるサンドストーンを使用、2026年からはシドニー空港と並んで同州への往来を支えることとなる。

写真 西シドニー空港第1ターミナルの様子(Bradfield Development Authority提供)

西シドニー空港第1ターミナルの様子(Bradfield Development Authority提供)

(伊東佐和子)

(オーストラリア)

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