米USTRの対ブラジル25%の301条関税措置に、政府・産業界が懸念表明
(ブラジル、米国)
サンパウロ発
2026年07月23日
ブラジル連邦政府および産業界団体は、米国通商代表部(USTR)が7月15日に発表した、1974年通商法301条に基づきブラジル原産の特定品目に対して、22日午前0時1分以降の通関から、25%の追加関税を課す措置(2026年7月21日記事参照)について、相次いで懸念を表明した。
大統領府は7月16日付のプレスリリースで、デジタル貿易や電子決済サービス分野における米国企業への制限、違法伐採対策の不十分さなどを問題視したUSTRの主張を退けた。また、米国は過去15年間のブラジルとの財・サービス貿易で4,245億ドルの黒字を計上していると指摘し、米国側の主張には根拠がないと反発した。あわせて、ブラジルの「経済相互主義法」(注)に基づく対抗措置の手続きを直ちに開始するとともに、WTOの紛争解決制度でも本件を取り上げるとした。ただ、現地紙「グローボ」(7月20日付)によると、連邦政府は同法に基づく措置を直ちには発動せず、除外品目の拡大と交渉再開を優先する方針だ。
全国工業連盟(CNI)は7月16日付のウェブサイトで、米国の貿易政策の影響により、2026年上半期には全国27州のうち20州で対米輸出が前年同期比で減少し、対米輸出総額も同13%(約26億ドル)減少したと指摘した。その上で、今回の措置により状況がさらに悪化するとの見方を示した。サンパウロ州工業連盟(FIESP)も同日付のウェブサイトで同様の懸念を表明した。一方で、ブラジル政府の対米外交の運営にも一因があるとの見解も示した。
ブラジル履物産業協会(Abicalçados)は7月16日付のウェブサイトで、今回の措置はブラジルの輸出業者だけでなく、米国の輸入業者や小売業者、消費者にも不利益をもたらすと指摘した。また、2026年の履物輸出見通しについて、従来の前年比3.6%減から同7.1%減へ下方修正した。さらに、同協会は現地紙「フォーリャ」(7月16日付)に対し、輸出不振が雇用削減につながる可能性があるとの懸念を示した。
ブラジル機械工業会(ABIMAQ)は、米国が同業界にとって最大の輸出市場であり、両国の機械・設備産業は機械、部品、中間財などを通じて相互補完関係にあると指摘した。また、グループ企業間取引も多いことから、追加関税はコスト上昇や競争力低下、投資抑制を招くだけでなく、両国のサプライチェーン全体の効率性にも悪影響を及ぼすとの懸念を示した。
(注)連邦政府が言及した対抗措置の法的根拠は、2025年4月14日に公布された法律第15,122/2025号(通称「経済相互主義法(Lei da Reciprocidade Econômica)」)。同法は、他国による一方的な貿易制限措置がブラジルの競争力に悪影響を及ぼす場合、政府が報復関税や知的財産権保護の停止を含む比例的な対抗措置を講じることを認めるもの(2025年4月7日記事参照)。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル、米国)
ビジネス短信 59c87e6b8077afff





閉じる