カナダ、次期潜水艦の調達にドイツ企業を選定、NATOとの相互運用性を重視
(カナダ、ドイツ、ノルウェー、韓国、英国)
調査部米州課
2026年07月10日
カナダ政府は7月6日、カナダ海軍が保有する潜水艦の後継を選定する「カナダ哨戒潜水艦プロジェクト(CPSP)」において、ドイツのティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)を優先交渉企業に選定したと発表した。最大12隻の最新型潜水艦を導入する計画で、2027年末までの契約締結を目指している。マーク・カーニー首相は、「カナダ史上最大の防衛装備品の調達になるだろう」と強調した。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相も同様に、今回の案件はドイツにとって過去最大の防衛関連契約になるとの認識を示した。その上で、「欧州および大西洋同盟諸国の結束と協力を後押しする強いシグナルとなる」と述べた。
CPSPは、カナダ防衛投資庁(DIA)が推進するプロジェクトである。2026年2月にDIAが公表した「防衛産業戦略
」では、「構築・連携・調達(Build-Partner-Buy)」(注1)の方針の下、信頼できる同盟国企業との連携によって潜水艦能力を整備するとともに、技術移転やサプライチェーンへの参画を通じて、国内防衛産業の育成と経済効果の創出を図る考えが示された。
カナダ海軍が現在保有する4隻のビクトリア級潜水艦(注2)は、いずれも2000~2004年に英国から導入したもので、2030年半ばから後半にかけて退役する予定となっている。この4隻と入れ替える形で、2034年までに最初の4隻がTKMSから引き渡されることを目指す。今回選択された潜水艦「212CD型」はドイツとノルウェーが共同開発した非原子力潜水艦で、ノルウェー海軍も採用していることから、「NATO加盟国との相互運用性を確保できる」としている。カーニー氏によれば、TKMSはドイツおよびノルウェー向け発注分の一部を割り当てる意向を示しており、計画どおりの調達が可能との見方を示した。
なお、カナダ政府は2024年9月から優先交渉企業の選定プロセスを進めており、2025年8月には、TKMSと韓国のハンファ・オーシャンの2社をCPSPに基づく調達候補企業に選定していた。今回の発表で、ハンファ・オーシャンは予備供給者に位置付けられ、TKMSがCPSPで定める要件を満たせず契約合意に至らなかった場合の次点交渉先となる。
カーニー氏は、TKMSとの契約金額について最終契約締結まで公表しないとした。一方で、TKMSが航空宇宙、防衛装備、自律型システム、重要鉱物、研究開発などの戦略的分野に大規模な投資を行うことへの期待を示した。TKMSを中心とする企業連合「TEAM 212CD
」は、最終提案によりカナダ国内で1,670億カナダ・ドル(約19兆380億円、Cドル、1Cドル=約114円)規模の経済活動を創出し、860億Cドル(約9兆8,040億円)超の経済効果をもたらすとの試算を公表している。
(注1)国内において強靭(きょうじん)かつ革新的な防衛産業基盤を「構築」するとともに、自国単独では対応できない防衛装備品は信頼できる国・地域と「連携」して生産し、それが困難な場合には、カナダが主権的統制を確保できる形で同盟国から「調達」する方針を指す。
(注2)カナダ海軍が運用する通常動力型(ディーゼル推進)の潜水艦。
(木村勇翔)
(カナダ、ドイツ、ノルウェー、韓国、英国)
ビジネス短信 506dfc02d765e752





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