経済産業省が「検認の実態及び企業の対応事例」を公表、EPAで検認に不安抱えるも適切に対応する企業が多数

(日本、世界)

調査部米州課

2026年07月06日

経済産業省は7月2日、「検認の実態及び企業の対応事例外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同事例は、日本のEPA(経済連携協定)利用企業へのアンケート調査や、検認を経験した企業へのヒアリング結果を取りまとめて公表したもの(注1)。検認制度への理解促進とEPAのさらなる利用拡大を目指す(注2)。

アンケート調査結果によると、「検認に対する不安がない」と回答した企業は4割超だった一方、約6割の企業は何らかの不安を抱えていた(注3)。検認で不安に感じる要素として「検認で要求される内容が不明」との回答割合が最も高かった(注4)。ただ、不安を感じる、と回答した企業であっても、実際には大きな問題なく検認に対応できた企業や、過去の対応実績を踏まえて特段の懸念を持っていない企業が確認され、多くの企業が適切に検認へ対応できていることも分かった。

経済産業省が、検認経験のある10社へヒアリングを行ったところ、検認対応に当たり、「原産性判定の根拠資料を日頃から整理・保管していること」が、円滑な対応につながっていることも分かった。根拠資料の保管方法は、「紙媒体で保存しながら電子化対応について検討中」「EPA専門部署が、(部署横断的に)必要な書類にアクセスできる体制の構築」「提出が見込まれる書類を、検認対応書類としてパッケージ化しておく」など、企業によりさまざまな工夫をする事例がみられた。検認への対応には一定の事務負担や追加説明が求められる場合があるものの、このような社内ルールの整備や担当部門間の連携、文書管理の工夫などにより、適切に対応できていることが明らかになった。

経済産業省は、EPA活用に当たっては原産品であることを示す資料や裏付け資料を、原産性判定および原産地証明書作成の段階から適切に保管しておくことが重要だと強調している。その上で、こうした基本的な対応ができていれば、検認を過度に恐れる必要はなく、仮に検認対象となった場合でも適切な準備と工夫により十分対応可能であるとして、企業に対しEPAの積極的な活用を呼びかけている。

検認制度は、EPAを利用した輸出で、特恵税率の適用後、輸入国税関が原産性を事後的に確認するもの。EPAに定められた手続きの一環として、実施頻度は必ずしも高くないものの、企業はその対応に備えておく必要がある。経済産業省は、検認の主な内容と事例について、「産品の原産性の確認(原産品であることを明らかにする資料等の提供により原産性を説明すること)」「原産地証明書上の記載事項の正確性の確認(記載に誤り等があれば、正しい内容を説明すること)」「原産地証明書に記載の産品のHSコードが、輸入国税関の認識や輸入者による申告時と異なる場合の原産性の確認(可能な限りの範囲で、これらの原産性についても説明すること)」を挙げている。

(注1)アンケート回答企業数は376社。そのうち製造業が約89%を占める。回答企業のうち、54%が大企業、46%が中小企業。

(注2)経済産業省は2025年3月、検認ワーキンググループを設置し、実態調査を進めてきた。同ワーキンググループは、EPA活用推進会議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの下に、産業界などの委員で構成される非公開のワーキンググループ。EPA利用時に、特恵税率の適用が否認されるリスクへの過度な懸念から、その利用をちゅうちょする企業もあることが課題として指摘されてきたことを受け、設置された。なお、EPA活用推進会議は、同省が2022年に設置した官民の検討の場で、業界団体や企業、学識経験者、政府関係機関などが参加し、日本企業によるEPA活用の拡大に向けた課題や改善策を議論している。これまで業界別マニュアルの整備やEPA関連ツールの開発、原産地規則の運用改善などに取り組んできた。

(注3)大企業では、約38%が「不安なし」と回答する一方、約62%が「不安あり」と回答。中小企業では、「不安なし」と「不安あり」の回答割合がともに約5割だった。

(注4)アンケート調査で「検認に不安を感じる」と回答した企業(213社)のうち、検認に不安を感じる要素を3項目まで選択。最も多く選択された回答が「検認で要求される内容が不安」。

(辻本希世)

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