カスト大統領がパラグアイ訪問、治安協力と大陸横断回廊で連携深化
(チリ、パラグアイ)
サンティアゴ発
2026年07月03日
チリのホセ・アントニオ・カスト大統領は、6月29日から7月1日にかけてパラグアイを公式訪問した。準加盟国として第68回メルコスール首脳会議に出席したほか、パラグアイのサンティアゴ・ペニャ大統領との首脳会談を行い、二重課税防止協定など3件の2国間文書に署名した。チリ政府は今回の訪問を、地域統合の促進や治安協力の強化を図る外交戦略の一環と位置付けている。
カスト大統領は6月30日に開催されたメルコスール首脳会議で演説し、自由貿易の促進や投資環境改善の重要性を強調した。また、麻薬取引や国際的な組織犯罪への対応に向け、各国による治安協力や情報共有の強化を呼びかけた。
7月1日のペニャ大統領との首脳会談では、両国は(1)所得税および財産税に関する二重課税防止協定、(2)治安・犯罪対策に向けた両国内務当局間の協力覚書、(3)人身取引の防止・捜査・被害者支援に関する協力覚書の3文書を締結した。両首脳は共同声明において、貿易・投資の促進に加え、物流、国境管理、司法など幅広い分野で協力を深める方針を確認した。
両国はまた、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン、チリの4カ国を結ぶ大陸横断回廊についても協議した。同回廊は、南米南部の物流網強化を目的とする広域インフラ事業で、パラグアイでは、太平洋経由によるアジア市場へのアクセス改善が期待される。一方、チリでは、アントファガスタ港やイキケ港など北部港湾の利用拡大が見込まれる。両首脳は同回廊の重要性を確認し、その推進で一致した。カスト大統領はパラグアイ国会特別会議でも演説し、地域統合や治安協力の重要性を訴えるとともに、パラグアイの経済運営や投資誘致の実績を高く評価した。
今回の訪問では、治安協力と経済連携の強化が確認された。治安面では国際的な組織犯罪対策をめぐる協力が進展し、経済面では二重課税防止協定の締結や大陸横断回廊の推進を通じて、2国間関係の深化に加え、域内物流網の強化や貿易・投資環境の改善に向けた方向性が示された。
(高橋英行)
(チリ、パラグアイ)
ビジネス短信 49481a9b5c60cdf6





閉じる