インド政府、新たな半導体産業支援策「Semicon 2.0」を閣議承認
(インド)
ニューデリー発
2026年07月22日
インド政府は7月15日、半導体設計・製造エコシステムの強化を目的とした「Semicon 2.0」を閣議承認した。予算規模は1兆2,750億ルピー(約2兆1,675億円、1ルピー=約1.7円)。今後、詳細なガイドラインや申請方法などが発表される見込みだ。
2021年12月に発表された「Semicon 1.0」は半導体産業の立ち上げを目的としており、半導体製造工場やATMP(半導体組み立て、試験、マーキング、パッケージング)施設の誘致を中心とした内容だった。それに対し、「Semicon 2.0」では、(1)半導体設計、(2)製造装置・材料、(3)さらなる前工程工場の設立、(4)後工程産業であるATMPおよびOSAT(半導体組み立て、検査)の強化、(5)研究開発、(6)人材育成の6分野を柱として、半導体産業全体のエコシステム構築を推進する。
各柱の概要は次のとおり。
(1)半導体設計:既に105社のスタートアップが半導体設計に取り組んでいることを踏まえ、半導体IP(知的財産)やチップ、システム設計の開発を促進し、インドを半導体設計IPの主要拠点とすることを目指す。
(2)製造装置・材料:半導体製造装置の製造・研究開発や、半導体製造に不可欠な材料・化学薬品、ガスの製造を行う企業への支援を実施する。
(3)前工程工場の設立:シリコン工場、化合物半導体工場、ディスクリート(注)半導体工場、ディスプレー工場などへの新規投資を誘致する。相補型金属酸化膜半導体 (CMOS:Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)技術を用いたシリコン工場に対しては設備投資額の40%を、その他の工場に対しては設備投資額の35%の財政支援を行う。
(4)後工程産業の強化:最先端のATMP技術のインドへの投資を積極的に支援する。先端パッケージングに対しては設備投資額の35%、従来型パッケージングに対しては設備投資額の25%の財政支援を行う。
(5)研究開発:現在の28~110ナノメートル世代から、より先端プロセスや先端技術の開発を国内外の研究機関と連携して進める。
(6)人材育成:約6万8,000人の学生が既に最新の電子設計自動化(EDA:Electronic Design Automation)ツールを用いた高度なチップ設計教育を受けているが、今後は、大学在学中の教育内容をさらに高度化するとともに、産業界とも連携し、クリーンルーム運用や工場建設、その他半導体エコシステムに関する専門教育も強化していく。
併せて政府は、「Semicon 1.0」の進捗も公表した。製造分野では、累計投資額1兆6,400億ルピー超となる計12件の半導体製造プロジェクト(シリコン工場1件、シリコンカーバイド工場1件、窒化ガリウム(GaN)マイクロLEDディスプレー一貫製造工場1件、半導体パッケージング施設9件)を承認済みだ(2026年5月7日記事参照)。このうちマイクロン、ケインズ、CGセミの3社のグジャラート州サナンド工場は既に商業生産を開始しており、さらに1社が2026年中の生産開始を予定している。
設計分野では、スタートアップ・中小零細企業による24件の半導体設計プロジェクトを資金支援対象として採択し、105社に業界標準EDAツールの利用を認めている。これらの企業は、衛星通信、ドローン、監視カメラ、IoT(モノのインターネット)機器、LEDドライバー、AI(人工知能)システム、通信機器、スマートメーター向けなどの半導体やSoC(System on Chip)の設計・開発を進めており、試作を経て実用化を目指している。
(注)記憶や演算などさまざまな機能をするものではなく、単一目的のために使用される単一機能の半導体。
(花村大樹)
(インド)
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