トランプ米大統領、発がん性懸念のある有害大気汚染物質の排出規制厳格化を2年延期

(米国)

ニューヨーク発

2026年07月16日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月13日、2024年5月に環境保護庁(EPA)が定めた有害大気汚染物質(HAP、注)の排出防止基準について、履行開始日を2年延期する大統領令を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。付属書IPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に定められた企業が規制緩和の対象となる。

今回規制緩和の対象となったのは、バイデン前政権下にEPAが定めた最終規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのうち、大気浄化法(CAA)第112条に基づく部分だ。112条はHAPを排出する工場やプラントなどの施設を対象に、排出削減基準の策定・見直しをEPAに義務付けている。最終規則は、特に有機化学品やポリマー・樹脂の製造施設の排出規制を厳格化するもので、発がん性が懸念されるエチレンオキシド(EtO)やクロロプレンなどのHAPの排出基準を厳格化するとともに、施設の敷地の境界(フェイスライン)における大気中のHAP濃度の継続的な監視を新たに義務付けていた。

最終規則で定められた新規基準には段階的な履行開始日が定められていたため、今回の大統領令によりそれぞれの開始日が2年後ろ倒しとなり、それまでは最終規則による改正前の基準が適用される。

同日に発表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、最終規則で定められた基準が「国益に不可欠な産業に対してコストがかかり、場合によっては達成不可能」とし、過度に制限的な規制が「米国のエネルギー供給の信頼性や経済活力、国家安全保障を損なうもの」との認識を示した。

トランプ政権はHAPの排出規制の緩和を進めている。EPAのリー・ゼルディン長官は2025年3月、環境規制の緩和に向け、31件の措置を講じると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。そのうちの1つに、米国のエネルギーおよび製造業セクターを対象とした、複数の「HAPに関する国家排出基準(NESHAP)」見直しが含まれていた。2025年4月には、石炭火力発電所における水銀の排出規制の履行開始日を2年間延期する大統領令を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、今回の措置はこれらに続くものと位置付けられる。

(注)がんなどの深刻な健康被害や環境への悪影響を引き起こすことが判明している、あるいはその疑いがあるとEPAが定める物質。現在は188種がHAPに定められている。

(滝本慎一郎)

(米国)

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