政府系ファンドINA、2025年版年次報告書を発表、先端材料・製造業などに投資対象を拡大
(インドネシア)
ジャカルタ発
2026年07月07日
インドネシアの政府系ファンド、インドネシア投資庁(INA、注)は7月1日、2025年版年次報告書
を発表した。設立から5年目を迎えたINAは、投資パートナーと共同で累計74兆5,000億ルピア(約47億ドル)を投資した。うちINA単体での投資実行額は33兆3,000億ルピア(約21億ドル)で、共同投資などを通じて誘致に貢献した外国直接投資額(FDI)は41兆2,000億ルピア(約26億ドル)に達した。運用資産総額(AUM)は146兆2,000億ルピア(約91億ドル)と、設立時の1.9倍に拡大した。
INAは2025年、投資戦略として、従来のインフラ、運輸・物流、グリーンエネルギー、デジタル、ヘルスケア分野に加えて、先端材料や製造業にも投資対象を拡大した。2025年末時点の累計投資配分は、インフラ・運輸・物流が44.0%、デジタル・デジタルインフラが29.6%、グリーンエネルギー・エネルギー転換が9.8%、ヘルスケアが9.2%、先端材料が5.5%だった。
先端材料分野では、INAは中国の常州利源(Changzhou Liyuan)と提携し、クンダル工業団地内のPT LBM Energi Baru Indonesiaを通じて、インドネシア初のリン酸鉄リチウム(LFP)正極材の生産施設の開発を進めている。第1期の年産能力は2025年に3万トンに達し、第2期11万トンが2026年、第3期12万トンが2027年に稼働する予定で、INAは同案件が中国国外で最大級のLFP正極材生産基盤になるとしている。デジタル分野では、シンガポール系DayOneとバタム島のノンサ・デジタル・パークで72.4メガワット(MW)規模、投資額約6億ドルのデータセンターを開発している。医療分野では、韓国SKプラズマ社との合弁で、西ジャワ州カラワンに血漿(けっしょう)由来医薬品の製造施設を建設中で、2025年末時点で建設進捗は98%超、2026年後半の商業運転開始、2027年に製品生産を開始する予定とした。
INAは年次報告書で、2026年以降もヘルスケア、運輸・物流、グリーンエネルギー、デジタル・AI(人工知能)、先端材料・製造業などを重点分野とし、民間資産や商業性の高い案件への投資機会を探るとした。INAのオキ・ラマダナ取締役会長兼CEOは、「これらの新規分野への投資拡大は、投資のインパクトを高め、より高いリターンを確保するためのINAの長期戦略の1つである」と強調した(7月2日付、「コンパス」)。
(注)INAは、インドネシア政府が全額所有し、財務相らが監督理事会を通じてガバナンスに関与する政府系ファンドで、国内外の投資家との共同投資を通じ、インドネシアの成長分野に長期資金を呼び込む役割を担う。2025年に設立された政府系ファンド「ダナンタラ」(2025年3月3日記事参照)については年次報告書で、国営企業資産や投資を所管する機関として位置付けている。
(ティアラ・ダルマシャンティ、大滝泰史)
(インドネシア)
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