ASEAN事務局、DEFA発効見据え、電子署名やデータ管理体制の整備促す説明会を開催
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
ジャカルタ発
2026年07月23日
ASEAN事務局(本部:インドネシア・ジャカルタ)は7月14日、2026年5月29日に交渉が妥結したASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)(2026年6月5日記事参照)が域内の中小零細企業(MSME)に与える影響をテーマとするオンライン説明会を開催した。講師を務めた国際貿易センター(ITC)のロドリゴ・サアベドラ氏は、DEFA発効を待つのではなく、企業は電子署名やデータ管理体制の整備など、デジタル取引基盤の整備を進める必要があると強調した。
サアベドラ氏は、DEFA交渉は2026年11月の署名が見込まれている一方、最終協定文は未公表だと説明した。その上で、DEFAは新たな制度を創設するものではなく、ASEAN電子商取引協定、ASEANシングル・ウィンドウ、ASEAN統一事業者識別番号(UBIN)など既存の地域的な制度・取り組みを補完・統合する枠組みとの認識を示した。
同氏は、MSMEが発効前から取り組むべき事項として、(1)データマップの整備(注1)、(2)電子インボイス様式の整備、(3)デジタル決済環境の構築、(4)事業者情報の整理、(5)電子署名・デジタル署名の活用の5項目を挙げた。中でもデータ管理体制の整備については、企業がどのようなデータを取得・保存・移転しているかを把握することが重要だとした。また、DEFAの発効を待つことなく、各国の電子取引関連制度を確認した上で、電子契約やデジタル文書管理の導入を進めることが重要と指摘した。
さらに、企業情報や取引記録などの証跡(エビデンス)を常に最新の状態に保つ必要性も指摘した上で、金融機関や取引先は企業の信頼性を判断する際、こうした情報の提示を求めることが多いと説明した。また、将来的には域内で相互運用可能な事業者認証制度として開発が進められているUBINの活用にも期待を示した。
このほか、企業はDEFA発効前から既存の制度やツールを活用すべきだとし、ASEAN電子商取引協定、ASEANシングル・ウィンドウ、ASEANモデル契約条項を例示した。スマートフォンや高速インターネット通信環境の普及によって、中小企業でも越境電子商取引に参加しやすい環境は整いつつあるとして、域内デジタル経済への参加拡大に向けて、デジタル取引基盤の整備を進める重要性を指摘した。
(注1)データマップとは、企業が保有するデータの種類、保存場所、利用目的、移転先などを整理・可視化するもの。越境データ移転に関する規制対応や、将来的なDEFAルールへの対応の基礎となる。
(注2)DEFAの交渉経緯や主な合意内容については、2026年2月16日付地域・分析レポート「ASEANのDX(2)実質妥結を迎えたASEANデジタル経済枠組み協定」を参照。
(ティアラ・ダルマシャンティ、大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
ビジネス短信 38da130342395909





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