米USTR、ヨルダンとの相互貿易協定の締結を発表

(米国、ヨルダン)

ニューヨーク発

2026年07月23日

米国通商代表部(USTR)は7月21日、米国とヨルダンが相互貿易協定(ART)を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ホワイトハウスは同日、協定文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開した。

ファクトシートによると、本相互貿易協定は、2001年12月に発効した2国間の自由貿易協定(FTA)を含む、両国の長年の経済関係を基盤としたもの。ヨルダンにおける平和や繁栄、投資を支援するとともに、米国の輸出業者がこれまでに直面してきた貿易障壁を取り除き、ヨルダンへの市場アクセスを提供するものとして位置付けている。協定の主な合意内容は次のとおり。

  • ヨルダンは、同国へ輸出されるほぼ全ての米国産品に対し、既存のFTAと同様の水準の関税率を適用する。
  • ヨルダンは、非関税貿易障壁を撤廃することで、米国の農産物や自動車などへの市場アクセスを拡大する。
  • ヨルダンは、環境法の施行、強制労働によって生産された商品の輸入禁止を含む労働権の保護、知的財産権の保護強化、公正な貿易慣行の確保、および通関手続きの改善を通じて、米国との貿易を改善する。
  • 米国は、ヨルダン産品に対し、本協定の付属書IPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に規定する関税率を適用する。具体的には、スケジュール1APDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に掲載するヨルダン産品に対してMFN税率や2国間FTAに基づく特恵税率を適用する。また、米国が今後関税措置を導入する際、1962年通商拡大法232条など一部措置(注1)の導入時を除き、ヨルダンに対して優遇措置を講ずる。
  • 米国とヨルダンは、両国のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化とイノベーション創出に向け、経済および国家安全保障面での連携を強化する。この実現に向け、第三国の非市場的政策に対処するための相互補完的な措置(注2)を実施する。ヨルダンは、第三国の企業などによる、米国の関税措置や輸出管理措置などの回避を目的とした行為に、米国と共同で対処する。

このほか、ヨルダンの企業による米国からの年間3億ドル以上の原材料(raw materials)の購入や、ロイヤル・ヨルダン航空による、米国ボーイング製航空機6機の購入と5億ドル相当の航空機の追加リースの契約締結、ヨルダンの製薬会社ヒクマ・ファーマシューティカルズによる米国への10億ドルの投資が合意事項として挙げられている。

なおUSTRは、1974年通商法301条に基づき、輸入禁止措置の導入をARTで約束しているとする国・地域などに対して10%、ヨルダンを含めて輸入禁止措置を導入していないとする国・地域に対して12.5%の追加関税を課すよう提案しているが(2026年7月10日記事参照、注3)、今回の協定にヨルダンの強制労働産品の輸入禁止措置の導入が盛り込まれたことも踏まえて、301条関税はその履行状況を踏まえて税率を判断するとした。グリア代表は21日、301条関税を「まもなく」発動すると述べた一方、議会などへの報告が完了するまでは具体的な時期を明らかにできないとした(CNBC、7月21日)。301条関税の発動時期や税理は引き続き不確実な状態が続いている。

(注1)アンチダンピング関税(CVD)や補助金相殺関税(CVD)、セーフガード措置、1962年通商拡大法232条に基づく関税措置を導入する場合を除く。

(注2)協定文の4.1.条に具体的な内容を記載している。例えば、米国が経済安全保障や国家安全保障上の理由で第三国の物品やサービスの輸入制限措置を導入した場合、ヨルダンも国内法にのっとり、当該国からの物品・サービスの輸入を規制することなどが定められている。

(注3)強制労働産品を対象とした調査は、ヨルダンを含む60カ国・地域を対象とする。

(滝本慎一郎)

(米国、ヨルダン)

ビジネス短信 37f3fc626e79ced3