欧州委、電化行動計画を発表、2040年の電化率46%の指標目標を提示

(EU)

ブリュッセル発

2026年07月22日

欧州委員会は7月17日、輸入化石燃料の依存低減やエネルギー価格の引き下げ、エネルギー安全保障および競争力の強化に向けた「電化行動計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EUでは発電量の約70%がクリーンエネルギー由来となっている一方、最終エネルギー需要に占める電化率は過去10年間23%で停滞している。このため、産業、運輸、建物分野を中心に電化を加速し、最終エネルギー消費に占める2040年の電化率46%という指標目標を示した。

EUでは、電気料金はガス料金の3倍に達することも多く、多くの革新的技術が商業規模に達していないほか、企業が化石燃料から電力への切り替えを進める上で、コスト面の課題も残っている。こうした障壁に対応するため、欧州委はヒートポンプや電気自動車(EV)、蓄電池など電力を活用するクリーン技術の導入を欧州全域で促進する。

特に2030年までに家庭向けの電力価格をガス価格の2.5倍以下、産業向けを同2倍以下に抑えることを目標に電力とガスの競争条件の平準化を図る。これに向け、欧州委は送電網利用料金や電力課税の見直しを盛り込んだ、電気料金制度の将来対応に向けた電力域内市場規則改正案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも同日公表した。改正案では、家庭の電気料金の約4分の1を占める系統料金について、従来のコスト回収中心の考え方から、需要応答や時間帯別料金、柔軟な系統接続などを促し、既存の送配電網をより効率的に活用する料金設計への転換を図る。また、エネルギー多消費産業やデータセンター、エネルギーコミュニティなどに対する特別料金制度を認めるほか、加盟国が脱炭素化や産業電化に伴う追加的な電力系統コストの一部を公的資金で負担し、利用者の系統料金を引き下げることも可能とする。このほか、スマートメーターの普及拡大を通じ需要の柔軟化を進め、エネルギーコストの予見可能性向上と継続的な料金引き下げにつなげる。さらに、電力への課税を天然ガスより低く設定できるようにすることも提案している。

同計画は、電化設備への投資促進も重視する。欧州委は産業部門の電化支援策として、イノベーション基金を通じた産業用熱オークション(IF26 Heat Auction)を実施しており、2025年の第1回オークションでは約4億ユーロを支援し、85件の応募のうち65件を採択した。2026年は予算を10億ユーロに拡大し、ヒートポンプや電気ボイラー、誘導加熱の電化技術に加え、原子力由来熱も支援対象に追加する方針を示している。

また、電化の加速に向けては、送電網整備も重要課題となっている。欧州委が2025年12月に提案した欧州送電網パッケージ(2025年12月19日記事参照)について、EU理事会(閣僚理事会)は6月26日、欧州議会は7月2日に交渉上の立場を採択しており、欧州議会本会議での承認を経て、EU理事会との交渉に入る見通しだ。

(薮中愛子)

(EU)

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