隣国ジョホール州との鉄道開通で消費流出超過に、シンガポール経済団体が試算

(シンガポール、マレーシア)

シンガポール発

2026年07月22日

シンガポールと隣国マレーシア南部ジョホール州を結ぶ高速輸送システム(RTS)の開通により、シンガポールからジョホール州へのアウトバンドの年間消費額が10億5,000万シンガポール・ドル(約1,323億円、Sドル、1Sドル=約126円)増加する見通しだ。一方、ジョホール州からシンガポールへのインバウンドの年間消費額の増加額は7億5,600万Sドルにとどまり、差し引き2億9,400万Sドルの消費流出超過と見込まれる。シンガポール・ビジネス連盟(SBF)、シンガポール・レストラン協会(RAS)とシンガポール小売業協会(SRA)の共同調査(注)による試算が7月16日の発表で明らかになった。

シンガポールとジョホール州の州都ジョホールバルは現在、2本の橋で結ばれている。RTSが2026年末までに完成すれば、1時間当たり最大1万人の輸送が可能になり、両国間の交通利便性が大幅に向上する見通しだ(2026年3月5日付地域・分析レポート参照)。同調査によると、公共交通機関を利用してジョホールバルを訪れるシンガポールの消費者の年間平均訪問回数は、RTS開通前の8回から開通後には14回へと70%増加する見込みだ。また、自家用車などを利用する消費者についても、年間平均10回から13回へと31%増加すると予想される。RTS開通後も、訪問の6割以上が日帰りになると見込まれている。

RTS開通による2億9,400万Sドルの消費流出超過額は、2025年のシンガポールの小売売上高(522億Sドル)と飲食売上高(193億Sドル)の合計額の0.4%に相当する。地域別では、都心部よりも郊外でRTS開通の影響を受ける見通しだ。シンガポールの消費者のジョホールバルで支出する品目は食料品が最も多く、ドラッグストア、外食、美容サービスが続く。

今回の調査では、2018年に開通した香港・深センの広深港高速鉄道(XRL)の事例が、比較ベンチマークとして用いられた。新型コロナ禍後にXRLが2023年に運行再開した際には、陸路による越境移動が63%増加した。

(注)SBF、RAS、SRAの共同調査レポート「RTSによるシンガポールの小売り、飲食セクターへのインパクト」はSBFのサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからダウンロードできる。

(本田智津絵)

(シンガポール、マレーシア)

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