フランス、企業の猛暑対策の法的義務を厳格化、違反に罰則や監督強化
(フランス)
パリ発
2026年07月03日
フランスで社会的・税務的不正対策法が6月25日に成立し、職業上のリスク評価単一文書(DUERP)に関する義務違反への制裁が強化された。DUERPの未作成や未更新には7,500ユーロ(再違反時は最大1万5,000ユーロ)の罰金が科されるほか、労働監督機関による行政罰も導入された。罰金は最大4,000ユーロで、違反対象となる労働者数に応じて複数回科される場合があり、再違反時には倍増する。猛暑(注)下における労働者の健康・安全確保を目的に、企業に対する法的義務の履行を厳格化する動きとなる。
フランス労働法では、安全配慮義務(L4121-1)に基づき、雇用主に対し猛暑リスクの評価(R4463-2)、作業時間・作業体制の調整、冷たい飲料水の提供など具体的な対策(R4463-3、R4225-2)の実施を従来から義務付けている。
また、企業はDUERPに猛暑リスクの評価と対策を組み込む必要がある。DUERPは、企業内の全ての業務上のリスクを把握・評価し、その結果と予防措置を記載する義務文書であり、1人目の従業員を雇用した時点から作成が求められる。2025年5月27日付政令(デクレ)により、猛暑リスクの位置付けが明確化されている。
具体的措置としては、労働時間の柔軟な調整(涼しい時間帯へのシフト)、休憩回数の増加、遮光設備や冷却装置の設置、作業負荷の軽減などが挙げられる。また、冷たい飲料水の提供は常時義務であり、猛暑時には十分な量を作業場所近くに確保する必要がある。さらに、高齢者や健康状態に配慮が必要な従業員など、脆弱(ぜいじゃく)な労働者への個別対応のほか、熱中症などの発症時に迅速な対応が可能な体制整備も求められる。状況によっては、労働者が危険性を理由に業務を拒否できる「退避権」が行使される場合もある。
ジャン=ピエール・ファランドゥー労働相は6月29日、公営ラジオ局フランス・アンフォ(Franceinfo)に出演し、猛暑対策の履行状況を確認するため、5月末から約1カ月間で2,600件の立ち入り検査を実施し、227件の是正命令を出したことを明らかにした。気候変動を踏まえ、夏季の労働時間の見直しなどについて労使間で議論を進める方針も示した。
(注)猛暑は気象庁の警戒基準に基づき、黄(高温)、オレンジ(熱波)、赤(極端な熱波)が対象となる。
(山崎あき)
(フランス)
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