中小企業向け付加価値税免除基準の引き下げを延期

(ロシア)

調査部欧州課

2026年07月08日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は7月4日、簡易課税制度の適用事業者に対する付加価値税(VAT)納税義務について発生基準の引き下げを延期する連邦法に署名、即日発効した。今回大統領が署名したのは連邦法第228-FZ号「ロシア連邦国税基本法第2部第145条の改正について」で、これによりVATの納税義務が生じる基準となる年間所得が2029年までの間、現行の2,000万ルーブル(4,000万円、1ルーブル=約2円)のまま据え置かれる。2025年11月の法改正により、2026年分は2,000万ルーブル、2027年分は1,500万ルーブル、2028年分以降は1,000万ルーブルに段階的に引き下げられることになっていた。

同法は、プーチン大統領が6月5日にサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)で、所得基準を現時点の水準で固定するように指示したことを受けて策定されたものだが、もともとは、全ロシア中小企業連盟「オポラ・ロシア」が中小企業に対する税制改革の影響の分析結果を踏まえ、基準を2,000万ルーブルに据え置くよう政府に提案したことがきっかけとなった。同提案は、ロシア産業家企業家連盟(RSPP)やロシア連邦商工会議所、与党「統一ロシア」も支持していた。

税務当局は違法な事業分割の増加を指摘

税制改革に伴う税負担の増加を受け、中小企業の間では事業運営の見直しやコスト削減などの対応を迫られているほか、一部では事業継続を断念する動きもみられる。オポラ・ロシアの調査に回答した零細企業および中小企業の9割超が、税制改革後に経営環境が悪化したとの認識を示した。企業情報データベースサービス「Kontur.Focus」のデータによると、2026年第1四半期の中小企業の倒産件数は20万9,000社にのぼり、前年同期比で約9%増加した(「フォーブス・ロシア」5月14日)。

こうした中、簡易税制の適用事業者にとどまることを目的とした事業分割などの違法なスキームの利用が増えている。連邦税務局のロマン・ホロシェフ分析部長は、オポラ・ロシアの調査で事業分割を行ったと認めた回答が2.6%だったことに関して、「独自の調査の結果では、実際に事業分割を利用している事業者の割合は2桁台に上る」と指摘している(「RBK」6月25日)。

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