ジェトロ、バングラデシュの新年度予算セミナー開催、民間投資主導へ転換を志向も課題は山積
(バングラデシュ)
ダッカ発
2026年07月01日
ジェトロは6月22日、バングラデシュを代表する政策アナリストのマスルール・リアズ氏を講師に迎え、新年度となる2026/2027年度(2026年7月~2027年6月)予算セミナーをオンラインで開催した。
リアズ氏は新年度予算について、高インフレが続く中、国民や企業に配慮し追加増税を回避した内容だと評価した。特徴として、国家主導・負債依存型から民間投資主導の成長への転換を志向している点を挙げた。一方、タリク・ラフマン政権が6.5%以上のGDP成長率、7.5%以下のインフレ率という野心的な目標を掲げたことに関し、足元の成長鈍化や9%を超えるインフレ率の現状を踏まえると「現実離れした数値」との見方を示した。大幅な税収増を目指す方針も、既存企業への強圧的な徴税や政府借入増による民間融資圧迫を招く可能性があると指摘した。
またリアズ氏は、新年度予算の基本理念は(1)経済の民主化、(2)民間投資主導の成長、(3)財政規律、(4)社会的包摂性にあるとし、法人税率の固定化や投資手続きの迅速化などの政策の方向性は明確だと評価した。他方、政策の実行力が最大の課題と述べ、過去のデジタル行政やワンストップサービスの機能不全を例に挙げて、政策が実施段階で停滞するリスクへの懸念を示した。さらに、銀行セクターの不良債権や資本不足がソブリン格付け向上の障壁であるにもかかわらず、抜本的な改革の道筋が示されていないとしたほか、エネルギー分野では、補助金増額による低所得層の保護を評価する一方、化石燃料依存の高さと財政負担の継続を指摘した。全体的に、新年度予算は民間投資を促進する方向性を示した一方、実効性は数値目標の妥当性と政策実行力に左右されると総括した。
最後に、バングラデシュを巡る厳しい地政学環境の変化にも触れ、米国、中国、インドなど各国の関与が強まる中、日本の役割の重要性を強調し、対外関係の方向性が今後の投資環境や経済運営にも影響すると述べた。
(新居大介)
(バングラデシュ)
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