サウジアラビア西部ジッダ港、保管料免除拡大を発表、中継貨物の誘致を強化
(サウジアラビア)
リヤド発
2026年07月22日
サウジアラビア港湾局(Mawani)は7月19日、同国西部のジッダ・イスラム港(以下、ジッダ港)で、中継貨物(トランジット貨物)を対象とした保管料免除期間の延長措置を7月19日から60日間実施すると発表した。同措置はサプライチェーンの効率性向上と、サウジアラビア港湾の国際競争力強化を目的としている。今回の取り組みでは、(1)トランジットコンテナの保管料免除期間を15日に延長すること、(2)一般トランジット貨物に対して5日間の保管料免除を適用すること、(3)RO-RO(ロールオン・ロールオフ)貨物(注1)および車両に対し5日間の保管料免除を提供すること、の3つの措置が導入される。これにより、利用者は輸送、保管、再輸出業務をより柔軟に管理できるようになる。
今回の優遇措置は、紅海沿岸で同国最大の港湾であり、東西を結ぶ地域有数の貿易拠点であるジッダ港の競争力強化に向けた戦略的取り組みの一環だ。同港は毎年、数百万トン規模の貨物やコンテナを取り扱い、地域および国際的なサプライチェーンを支える重要な役割を担っている。なお、近年は中東情勢の緊迫化を背景にジッダ港への貨物集中が進み、港湾混雑や物流コスト上昇が課題となっている(2026年7月16日付地域・分析レポート参照)。
7月20日付サウジアラビア国営通信(SPA)によると、物流業界の専門家は、保管料免除期間の延長によって、投資家や海運会社の運営コストが削減されるほか、海運事業者にとってジッダ港を主要な中継拠点として利用する魅力が高まるとの見方を示している。その結果、貨物取扱量の増加やサービス効率の向上が期待されており、同政府が掲げる国家運輸物流戦略(NTLS、注2)の目標にも合致している。
今回の措置により、今後数週間にわたり中継貨物の取扱量にどのような影響を及ぼすかに注目が集まっている。地域の港湾がより多くの定期航路や積み替え貨物の誘致を競う中、ジッダ港は貿易拡大と効率的かつ持続可能な物流の実現を支える戦略的な海上物流拠点としての役割を強化している。
中東情勢の最新情報およびホルムズ海峡の動向については、特集「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」「激動の中東情勢:中東各国への展望と影響」を参照。中東・アフリカのインフラや物流事情については、地域・分析レポート特集「中東・アフリカにおける物流とインフラプロジェクトの動向を探る」も併せて参照。
(注1)自動車、トラック、建設機械などの車輪付き貨物を、船と岸壁を結ぶランプウェイ(傾斜路)を利用して直接積み降ろしする貨物輸送方式。クレーンを使用しないため、効率的な荷役が可能とされる。
(注2)サウジアラビアの運輸・物流セクターにおけるビジョンと戦略的方向性を示す国家戦略。サウジ・ビジョン2030が掲げるサウジアラビアの「グローバル物流ハブ化」の実現を目指す。
(林憲忠)
(サウジアラビア)
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