デンマークの官民組織、医療のDX推進と連携の重要性強調、「HIMSS」欧州会議で

(デンマーク)

デュッセルドルフ発

2026年06月16日

デンマークの首都コペンハーゲンで5月19~21日、デジタルヘルス分野において世界で最も影響力のある会議の1つである、「HIMSS European Health Conference & Exhibition」が初めて開催された。

同イベントには、ヘルスケア分野のリーダー、イノベーター、政策担当者、医療機関、IT企業などが参集し、人工知能(AI)活用、健康格差の解消、デジタルトランスフォーメーション(DX)、サイバーセキュリティーなどを軸に議論を行った。

医療・ライフサイエンス分野の官民パートナーシップ組織であるヘルスケア・デンマーク会長のラース・フルーアゴー・ヨルゲンセン氏は基調講演で、「デジタルトランスフォーメーションは技術プロジェクトではなく、システムの変革である」と指摘し、データが医療システム全体で円滑に流通するには、長期にわたる信頼構築やガバナンス体制、関係者間の協働が不可欠であると述べた。単なる技術導入ではなく医療システム全体の変革としてのデジタル化が重要であることを強調した。

デンマーク医療の特徴として、30年以上にわたる同国政府の戦略的投資と官民連携による強固なデジタルインフラの構築が挙げられる。デンマークは世界でも有数のデジタル化された医療システムを有し、医療関連コミュニケーションの大半(約99%)が電子化されている。会期中、ヘルスケア・デンマークは報告書「Digitalization in Danish Healthcare」を発表し、デンマークにおける長期的な取り組みの成果を紹介した。報告書では、デジタル化が進んでいる実例を示した。例えば、保健データ庁が開発・運営する全国規模のデジタルインフラが、医療関係者に医療情報のリアルタイムでの共有を可能としている例だ。また、人手不足対策としてホーセンス地域病院とオーフス大学病院が開発した、血液検査を受けるべきリウマチ患者を抽出して通知を自動的に送るシステムを地域全体に導入し、7年間で18万時間以上の臨床業務時間を削減した事例を紹介している。加えて、各地方自治体と医療関係者および企業が連携し運営しているデジタルヘルスセンターが、自治体の保健センターに健康管理アプリなどを導入することで、「病院にかかる前の段階で健康を維持する」ことを目指す取り組みも取り上げている。

医療分野では高齢化や人手不足といった共通課題への対応が求められており、デジタル化は医療の効率化と質の向上の両立に向けた鍵と考えられている。デンマークは開催国として、世界で最もデジタル化が進む医療システムの1つである同国のデジタル医療システムを紹介するとともに、同イベントを各国の共通課題に対する実践的な解決策を共有し、学び、連携する場とした。

(安岡美佳)

(デンマーク)

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