ジョホール・シンガポール経済特別区でセミナーが開催、港湾拡張や倉庫開発進む

(マレーシア、シンガポール)

クアラルンプール発

2026年06月02日

ジョホール・シンガポール経済特別区(JS-SEZ)は、マレーシア・シンガポール両政府が20251月に合意したプロジェクト(202519日記事参照)で、「Two economies, One Eco System」を掲げ、両国一体の経済圏形成を目指す。推進母体のイスカンダル地域開発庁(IRDA)は、マレーシアみずほ銀行と共同で、51719日に日系企業向けの現地視察セミナーを開催し、プロジェクトの進捗を説明した。

シンガポール西側の対岸に位置するタンジュン・ペラパス港は、全長5.1キロメートルの岸壁に14のバース、67基のクレーンを備え、2025年には1,400TEU20フィートコンテナ換算)で世界第13位のコンテナ港に成長した。コンテナ管理には人工知能(AI)システムを導入し、物流効率化を進めている。現在、360メートルの新バース(バース・ゼロ)を建設中で、海側への1.5キロメートル拡張も計画する。世界300港とアクセスがあり、東南アジア最大のデジタルハブ港を目指している。

写真 シンガポールを望むタンジュン・ペラパス港(ジェトロ撮影)

シンガポールを望むタンジュン・ペラパス港(ジェトロ撮影)

シンガポールとマレーシアを結ぶ第2連絡橋から5キロメートルに位置する103°自由商業区(FCZ)は、総面積が55ヘクタールの物流・倉庫拠点だ。フェーズ1では、ドイツ大手物流会社シェンカーが運営するAクラス倉庫が稼働した。同FCZは完全カーボンニュートラル型の開発区で、「ジョホール・スーパー・レーン」の枠組みの下で迅速に承認を取得した初の案件でもある。シンガポールへの近接性と通関手続きの簡素化を強みに、シンガポール製造業のバックヤードとして、越境物流サービスの提供を開始している。

先端産業の集積も進む。シンガポールから約70キロメートル内陸のセデナクに位置するイブラヒム・テクノポリスは7,290エーカー(2,950ヘクタール)に及ぶ大規模開発プロジェクトで、ライフサイエンス、バイオテクノロジー、ロボティクスやAIの集積を目指す。すでに11カ所のデータセンター計画が許可され、建設が急ピッチで進む。

写真 データセンターの建設が進むイブラヒム・テクノポリス(ジェトロ撮影)

データセンターの建設が進むイブラヒム・テクノポリス(ジェトロ撮影)

IRDAによると、JS-SEZへの問い合わせは2025年来、シンガポールや中国が中心だったが、2026年に入り日本からも増えている。内容も、製造に加え、従来多かったデータセンター関連からエネルギーやヘルスケア分野に移行している。シンガポールとの機能補完により「ウィンウィン(win-win)」の関係を目指す2国間プロジェクトは、着実に進んでいる。

(森重浩純)

(マレーシア、シンガポール)

ビジネス短信 db3ab8c52cd1c95a