スイスの国民投票、人口を1,000万に制限する国民発議を否決、兵役代替の市民奉仕法の改正は可決

(スイス)

ジュネーブ発

2026年06月18日

スイスで6月14日に2つの国民投票(注1)が実施外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。スイスの人口上限を1,000万人に制限するイニシアチブ(国民発議)(注2)と、兵役の代替として市民奉仕を選択できる要件を厳格化するレファレンダム(注3)で、前者が賛成45.21%、反対54.79%で否決され、後者が賛成52.46%、反対47.54%で可決された。

否決された国民発議は、「人口1,000万人のスイスに反対(持続可能性のためのイニシアチブ)」と題し、2025年末に910万人に達したスイスの人口を2050年までに1,000万人を超えないように制限するもの。950万人を超えた段階で、連邦参事会(内閣に相当)と連邦議会に対して、特に難民受け入れや家族呼び寄せにおいて措置を講じることを求める内容となっていた。

スイスはEU/欧州自由貿易連合(EFTA)間での人の自由移動を2002年に導入して以降、人口が170万人増加しており、その80%は特にEU/EFTA加盟国からの移民によるものだ。人口制限による持続可能性の維持が訴えられた一方、企業は特にEU/EFTA加盟国から人材を多く採用しており、連邦政府は企業や病院、介護施設などでの外国人スタッフの存在を過小評価すべきではないとの見方があった。

国民発議はさらに、連邦政府に対して、人口増加を助長する国際協定において、例外条項やセーフガード条項の発動または交渉を求めるものだった。スイスの人口が上限の1,000万人を超えると、その2年後には、人の自由移動に関するEUとの協定を破棄せねばならず、そうなれば、EUとの他の2国間協定も無効になる。スイスはシェンゲン協定(注4)やダブリン協定(注5)に参加しており、難民・安全保障分野における緊密な協力関係についても、その存続が危ぶまれるところだった。

レファレンダムで可決された連邦市民奉仕法の改正は、男性の兵役義務を原則として市民奉仕を例外とするため、6つの措置を導入するものだ。市民奉仕へ移行する者には、残りの兵役日数にかかわらず、最低150日間の市民奉仕を課すなど、適用要件を厳格化する。将来的な軍隊の人員確保の必要性から同法の改正が求められていた。ギー・パルムラン大統領は国民投票後の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「市民奉仕(の選択肢)を廃止したり、価値を下げたりするものではない」とし、「今回の改正は是正措置だ」と説明、「連邦市民奉仕法の改正は2027年半ばまでに施行される見込みだ」との見通しを示した。

(注1)スイスでは年に最大4回、国民投票が実施される。

(注2)有権者10万人以上の署名を18カ月以内に集めることを要件として、国民による憲法改正の提案が可能。

(注3)有権者5万人以上の署名を100日以内に集めることを要件として、議会が承認した法案の是非を問う国民投票。

(注4)加盟国間の国境管理を撤廃し、人の自由移動を実現する協定。

(注5)加盟国間で難民の申請処理の責任国を定める協定。

(田中晋)

(スイス)

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