米エネルギー省、175億ドルの原子力サプライチェーン融資計画を発表

(米国)

ニューヨーク発

2026年06月29日

米国エネルギー省(DOE)は6月23日、米国の商用原子力サプライチェーン再構築に向けた長納期品の調達を支援するため、総額175億ドルの融資計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。DOEが「米国原子力サプライチェーン融資」の条件付き融資確約(Conditional Commitment)を発行した。融資対象は、米国の電力会社およびエネルギー企業が主導する最大5件の大型商用原子炉建設プロジェクトで、現時点で唯一、米国原子力規制委員会(NRC)から最終建設認可を取得している米国原子力発電大手ウェスチングハウスの先進型大型炉「AP1000」を採用する計画だ。

今回の融資計画は、2030年までに10基の新型大型原子炉の導入を目指すトランプ政権の原子力政策を後押しする狙いがある。

ウェスチングハウスは今後、最大5社の電力会社およびエネルギー企業と提携し、原子炉圧力容器や蒸気発生器などの長期の製造・納品期間を要する主要機器(長納期品)を固定価格で一括調達する。融資対象となるプロジェクトは共同所有となり、DOEの融資を受ける前に、ウェスチングハウスと提携企業がそれぞれ5億ドルの自己資本を拠出する必要がある。調達は自己資本の拠出時期などに応じて段階的に進められる。

AP1000は1基当たり1.1ギガワット(GW)の発電能力を持ち、10基で米国の約1,000万世帯に電力を供給可能だ。DOEは一括調達により、原子炉の建設期間を最大3年短縮できるほか、原子力関連機器のコスト削減やサプライチェーンの効率化も可能となると主張している。ウェスチングハウスは既に7社の候補企業と意向表明書(LOI)を締結しており、今後、技術、法務、環境、ならびに財務面の要件を満たした上で、最終的な融資契約を締結する見通しだ。

DOEのクリス・ライト長官は声明で、「本融資は、米国が再び大規模原子炉を建設するために不可欠なサプライチェーンを再生させる重要な一歩であり、建設期間の短縮とコスト低減を通じ、政権の掲げるエネルギー増強計画を実現する」と述べた。

ライト長官は米国の「原子力ルネサンス(再生)」を掲げており、その実現に向けた今後の融資先の選定や原子炉建設計画の進展が注目される。

(久峨喜美子)

(米国)

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