日ラオス官民合同対話を開催、輸出企業への付加価値税還付が争点
(ラオス、日本)
ビエンチャン発
2026年06月04日
在ラオス日本大使館、ラオス日本人商工会議所(JCCIL)、ラオス投資奨励管理委員会(IPMC)は5月21日、首都ビエンチャンで「第19回日ラオス官民合同対話本会合(注1)」を開催した。本会合では、小泉勉・駐ラオス日本国特命全権大使とポーンワン・ウタボンIPMC副委員長が共同議長を務め、投資環境の改善に向けた諸課題について意見交換が行われた。
今回の重要論点の1つとなったのは、2024年6月の付加価値税(VAT)法改正に伴う輸出向け製造業への影響である。輸出向け製造業が輸入する原材料・部品・機械は従来、輸入時のVAT負担が免除されてきたが、改正により2025年末から経済特区(SEZ)外の事業者を対象に、10%のVAT課税が開始されている。本措置を受け、対話では日本側から、VAT支払いによる資金繰りへの影響が大きいため、従来どおり、加工輸出に対してVAT免除の継続を要請し、徴収する場合には速やかな還付の実施を行うように依頼した。
これに対し、ラオス側からは税収確保の観点から、法改正後の課税・還付方法を維持しつつも、還付手続きの迅速化に向けた改善策を示した。具体的には次のとおり。
〇還付の遅延要因となっていた予算・国庫部門での審査手続きを合計5日以内に短縮。
還付金の原資不足による支払い遅延を防ぐため、当初予算で割り当てられた国庫財源に加え、納付税額から還付額を相殺する仕組みを導入。一方で、縫製業におけるCMT(委託加工)形態(注2)での輸出は、「国内で提供されるサービス」と整理され、実務上は還付と併せて次の運用となった。
- 加工賃に対し、他の国内サービスと同様に売り上げVAT10%を課税。
- 仕入れ・売り上げVATが相殺し切れない状態が3カ月以上継続した場合に初めて還付申請が可能。
制度変更を受け、一部の日系縫製企業では、CMT加工賃への課税負担の回避やVAT還付の確実性を高める目的から、従来のCMT形態からFOB(原料自己調達)形態(注3)への移行が検討・実施されている。いずれにせよ、ラオスの加工工場側での原材料調達や在庫維持、運転資金の増加といった負担が伴うため、一部の縫製業では、ラオスでの事業継続を社内全体で見直しているとの声も挙がっている。
こうした日系企業の懸念に対し、ポーンワン氏は最後に「VAT還付プロセスの複雑さは理解しており、どのように簡略化・透明化していくかが重要」と述べ、制度の運用改善に向けた対話を継続していくことで一致した。
日ラオス官民合同対話の様子(ジェトロ撮影)
(注1)日ラオス官民合同対話は、投資環境の改善に向け、日本とラオスの官民関係者間で行われる定期的な協議の枠組みのこと。年間を通じ、関係部局との複数回のワーキンググループも実施している。
(注2)CMTは裁断(Cut)、縫製(Make)、仕上げ(Trim)の略。発注元から生地や資材の無償(または有償)支給を受け、工場側は縫製加工賃(工賃)のみを受け取る委託生産形態を指す。一般にCMTは、製品企画や資材調達を伴わない縫製加工業(縫製業)に特化した形態であることを意味する。
(注3)FOBは工場側が自ら原材料を買い付けて輸入・製造し、製品として輸出する形態。CMT形態に比べ、原材料の購入代金や在庫維持に先立つ運転資金の確保が必要となる。
(武井浩人)
(ラオス、日本)
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