フェロクロム製錬所に対する優遇電力料金を承認
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2026年06月15日
南アフリカ共和国の国家エネルギー規制当局(NERSA)は5月29日、サマンコール・クロム(Samancor Chrome、注)やグレンコア・メラフェ・クロム・ベンチャー(Glencore–Merafe Chrome Venture)のフェロクロム製錬所に対して1キロワット時(kWh)当たり62セント(約6.0円、1セント=0.01ランド、約0.097円)の割引電力料金を承認した。この承認は、電力公社エスコム(Eskom)が4月10日に提出した申請と、5月25日にNERSAが開催した公聴会および協議を経て決定された。
NERSAの声明によると、契約期間はサマンコール・クロムが5年、グレンコア・メラフェ・クロム・ベンチャーが3年となった。期間の違いの理由は声明で明かされていないが、エスコムは契約の基本条件、価格メカニズム、リスク分担条件などによるものだと説明している。もともとエスコムの工業用顧客向け標準料金である180セント/kWhだったものが、既存の価格協定のハードシップ条項を活用して135.82セント/kWhが適用され、さらに2026年1月には12月までの暫定料金として87.74セント/kWhへの料金引き下げ(35%の減額)が承認されていた。今回の措置により、さらなる割引電気料金が適用されることとなる。
南アのフェロクロム産業は、同国の産業、輸出、鉱業バリューチェーン、雇用などにとって戦略的に重要な存在だ。しかし、国内製錬所は高い電気代などにより、中国の製錬所と競争ができず、業界は困難に直面している。南アには66のフェロクロム製錬所があるが、電気代の高騰や外国製品との競争により、2026年3月時点で稼働しているのは11のみだ。フェロアロイ生産者協会(FAPA)によると、南アは世界のクロム埋蔵量の80%を保有していると推定されている。2001年以降、世界のフェロクロム製錬生産量における南アのシェアは46%減少し、中国のシェアは50%以上拡大している。中国が南アからクロム鉱を輸入し、フェロクロム生産を拡大している構図だ。FAPAの報告書によれば、南アのフェロクロム生産コストの約35~65%が電力で占められている。コシエント・ラモホパ電力エネルギー相は、「今回の優遇電力料金は南アのフェロクロム製錬所の持続可能性と競争力を支援し、雇用維持に貢献する」と述べた。また、同氏によれば、この取り組みは約1万1,500人の直接雇用と、バリューチェーン全体に関わる間接雇用を含む約12万人の雇用を支えることを目指している。
(注)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)および阪和興業が同社の株式20%を所有している。
(トラスト・ムブトゥンガイ、多崎央)
(南アフリカ共和国)
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