米国北東部9州と沿岸部にまたがる洋上送電網構築に向けた提言書を公表
(米国)
ニューヨーク発
2026年06月19日
米国北東部のマサチューセッツ州をはじめとする9州とコロンビア特別区(首都ワシントン)は6月15日、北東部沿岸にまたがる洋上送電網の構築に向けた技術基準に関する政策を提言
した(注1)。同提言書は、ジョンズ・ホプキンス大学エネルギー研究所や技術専門家から成る「研究コンソーシアム(POINTS)」(注2)により策定
された。洋上送電の計画・開発におけるベストプラクティスや基準の標準化が盛り込まれている。州政府、系統運用者、産業界が共通の枠組みに基づいて連携し、洋上風力送電網の導入加速と消費者利益の最大化を実現することが目的だ。
提言は洋上送電網標準化戦略
、調達戦略
、高電圧直流(HVDC)の信頼性基準の高度化
の3つから成る。これら一連の提言は、HVDC技術の導入促進と、州をまたぐ洋上送電ネットワークの相互運用性確保を柱とする。同提言は特に設備仕様、調達手法、系統計画、信頼性基準の標準化を通じて、インフラ投資コストの削減、サプライチェーンの効率化、送電網の信頼性向上を図る方針を提示している。
北東部にはISOニューイングランド、ニューヨークISO、PJMインターコネクションといった複数の独立系の広域系統運用機関(ISO/RTO)が並立している。州をまたいだ送電整備の調整の必要性は、かねて指摘されていた。そのため、各州は2023年に、エネルギー省(DOE)に対して、「北東部州間送電協力連携連合」の招集を要請した。同連合が設置された2023年以降、州間連携による送電政策の調整が進められ、今回の報告書はその具体化の一環と位置付けられる。
今回の取り組みは、従来、州単位で実施されてきた電力インフラ整備から、複数州をまたぐ統合的な電力ネットワークへの転換を示す枠組みといえる。今後、実際に同枠組みが地域間の洋上風力発電プロジェクトを費用対効果の高いかたちで相互接続可能な送電プロジェクトへと転換されるのか注目される。
(注1)当初、マサチューセッツ州、コネティカット州、デラウェア州、メーン州、バーモント州、ロードアイランド州、ニューヨーク州、ニュージャージー州、メリーランド州で構成されていた北東部州間送電協力連携事業に、2026年6月15日に改定された覚書
により首都ワシントンが加わった。
(注2)2025年にDOEからの補助金で結成された研究イニシアチブで、技術専門家、北東部州間送電協力連携事業の代表者やコンサルタントを交えた共同プラットフォームとしての役割を果たす。
(久峨喜美子)
(米国)
ビジネス短信 af01dd6b5c49e447





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