ラオス、原子力発電の導入に向けロシアとの協力を拡大
(ラオス、ロシア)
ビエンチャン発
2026年06月30日
ロシアで6月15日、モスクワを公式訪問したラオスのソーンサイ・シーパンドン首相とロシアのミハイル・ミシュスチン首相の立ち会いの下、ロシア国営原子力企業ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ社長とラオスのマライトーン・コンマシット商工相が、「平和目的の原子力利用に関する政府間協定」に署名した。
同協定に基づき、第1段階として原子力発電の導入に向けた予備的な実現可能性調査(プレFS)が実施される。調査では、原子力発電をラオスの電力システムへ統合する手法や、建設候補地の選定などを検討する。現時点では原子力発電所の建設は正式決定しておらず、導入可能性を評価する段階にある。
ロスアトムとラオス政府は、2015年ごろから原子力協力に向けた協議を進めてきた。当初は出力1,000〜1,200メガワット級の大型原発が検討されていた。2016年4月には、ラオス・エネルギー鉱山省(当時)とロスアトムが、原子力発電所および研究施設の設計・建設・運営などを目的とする「平和目的の原子力利用に関する協力覚書」を締結した。さらに、2025年7月にはトンルン・シースリット国家主席のロシア公式訪問に合わせ、原子力分野の協力ロードマップに調印した。現在、ロシア製RITM-200を用いた陸上設置型小型モジュール炉(SMR、注)の導入が有力な選択肢として検討されている。
なお、ラオス政府が策定した「第10期社会経済開発5カ年計画(2026~2030年)」および「国家グリーン成長戦略2030」では、持続可能な経済成長の実現に向けてエネルギー源の多様化を推進しており、原子力は、水力、太陽光、風力、バイオマスと並び、「クリーンエネルギー/代替エネルギー」に位置付けられている。ただし、原発の導入は、公務員や専門人材の能力強化やFSを地域・国際協力の枠組みで進める段階にとどまっており、現時点では、将来の低コスト・低炭素電源として調査研究や人材育成を進める方針が示されている。
ロシアとラオスの原子力分野での協力は、ラオスの産業高度化やエネルギー源の多様化を促進する可能性がある。一方、原子力安全規制体制の整備、使用済み核燃料の管理、巨額の建設資金の確保などが、今後解決すべき重要課題が残されている。
(注)陸上設置型小型モジュール炉は、従来の大型原子力発電所よりも出力が小さく、工場で製造した原子炉モジュールを現地で組み立てる方式の原子炉のこと。従来の原子炉に比べて、安全性や建設コストで優位性があるとされる。
(山田健一郎)
(ラオス、ロシア)
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