欧州委とハンガリー、EU基金の凍結解除で政治的合意、実際の拠出は今後の改革次第

(ハンガリー、EU)

ブダペスト発

2026年06月03日

ハンガリーのマジャール・ペーテル首相は5月29日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とブリュッセルで会談し、同国向けに凍結されているEU基金の拠出条件について政治的合意に達した。対象は復興基金(RRF)や結束基金など、総額約164億ユーロ規模とされる。政治専門紙「ポリティコ」は、欧州委関係者の話として、今回の合意は資金の即時拠出の決定ではなく、今後の制度改革の実行が条件となる、と伝えている。

ハンガリー国内では資金拠出への期待が強い。カールマーン・アンドラーシュ財務相は、2026年8月末までの条件履行後の9月に支払い申請を行い、早ければ2026年第4四半期にも初回の資金が支払われる可能性があると述べた。

今回の合意は、EU基金の3つの分野にまたがるもの。具体的には、新型コロナ禍およびその後のエネルギー危機を受けて創設されたRRFの約100億ユーロ(うち65億ユーロが補助金、35億ユーロが低利融資)、法の支配の手続きに関連する結束基金の約42億ユーロ、そして学問の自由に関する基金の約22億ユーロである。

また、同財務相はこれらのEU基金の規模が現在のハンガリー国家予算の約13%に相当すると指摘した上で、本合意が数兆フォリント(1フォリント=約0.54円)規模で財政余地を拡大し、投資や開発のための新たな資金調達機会をもたらすとの見方を示した。

経済界でも前向きな反応がみられる。ハンガリー商工会議所(MKIK)は本合意を歓迎し、EU基金が、ハンガリー企業の競争力強化、デジタル化、イノベーション支援、エネルギー効率化、技術開発、さらには労働力と起業家精神の育成に活用されることへの期待を示した。

今回の政治的合意は、対立が続いた前オルバーン政権下のハンガリーとEUの関係改善の転換点と位置付けられる。ただし、EU基金の実際の拠出はマジャール政権による改革の進展に左右されるため、今後数カ月の法制度整備と実行力が、ハンガリーを取り巻く投資環境や経済回復の鍵を握るとみられる。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、EU)

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