NASAが火星探査で新たな官民パートナーシップを発表
(米国)
ニューヨーク発
2026年06月25日
米国航空宇宙局(NASA)は6月17日、民間宇宙企業のレラティビティー・スペース
(本社:カリフォルニア州ロングビーチ)との火星探査に向けた官民パートナーシップ
を発表した。火星探査事業における新たな官民連携として注目を集める。
今回のパートナーシップで、NASAは火星大気観測機器「アイオロス」(注1)の開発、提供を担い、レラティビティー・スペースが宇宙船や打ち上げロケットの開発、ミッション運用を担う。火星への打ち上げは2028年に計画されている。得られたデータは火星の大気環境をより正確に把握するために活用され、将来の有人・無人探査における火星着陸時の安全性向上につなげる。
NASAにおける民間企業との輸送分野での連携は、2006年に開始した「商業軌道輸送サービス(COTS)
」を契機に、国際宇宙ステーション(ISS)への補給や有人輸送で拡大してきた。その後、月面への科学機器などの輸送においても、民間企業との連携による「商業月面ペイロード輸送サービス(CLPS)
」が導入された。さらに2024年以降、火星探査の分野における民間リソースの活用による新たな枠組みの検討を進めており、今回の提携はその具体化の一環と位置付けられる(カナダの宇宙産業メディア「Space Q」、6月18日、注2)。
トランプ大統領は2025年8月13日、商業宇宙分野の規制緩和と競争促進を目的とする大統領令14335号
「商業宇宙産業における競争の活性化(Enabling Competition in the Commercial Space Industry)」を発令しており、民間活用を拡大する今回の動きは、同政権の宇宙政策とも方向性が一致する。NASAのジャレッド・アイザックマン長官は今回の協定に関し「NASAの世界最高水準の観測機器と、民間によるイノベーションや投資を組み合わせることで、より多くの科学的成果を生み出すことができる。また、将来の有人火星探査に向けた準備を進める研究者にとって不可欠なデータの取得時間を短縮できる」と述べた。
(注1)アイオロスは4種類の観測機器から構成され、火星全域の風、気温、砂嵐、雲の状態を毎日観測することが可能である。
(注2)NASAは2024年5月、火星探査ミッションの実現に商業サービスをどのように活用できるかについて、計12件の概念を検討する米国企業9社を選定。各社に20~30万ドルを支給し、機器の輸送、通信中継、火星表面の撮像など、将来の火星ミッションを支え得るサービスに関する報告書を作成する調査プロジェクト
を行った。なお9社には今回のレラティビティー・スペースは含まれていない。
(大原典子)
(米国)
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