米シカゴ連銀経済報告、4~5月前半の経済活動は微増、中東情勢を背景に物価は急上昇
(米国)
シカゴ発
2026年06月05日
米国連邦準備制度理事会(FRB)が6月3日に公表した地区連銀経済報告
(ベージュブック、注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、4~5月前半にかけての同地域の経済活動について、報告期間中わずかに増加した(increased slightly)と報告した。関係者(注3)は、今後1年間の活動に変化はないと予想している。
同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用はわずかに増加し、関係者は今後1年間同様のペースで増加すると予想している。関係者の多くが労働市場の状況は安定しており、雇用・解雇ともに慎重な環境が続いているとする一方、人材派遣会社からは、製造業での労働需要が高まっているとの報告があった。
物価は報告期間中、全体的に急速に上昇し(rose rapidly)、関係者は今後1年間で緩やかな上昇ペースが続くと予想している。生産者物価は力強いペースで上昇、人件費以外の投入コストも全体的に急上昇しており、中東情勢と関りのあるサプライチェーンでの投入財のコスト上昇が主な要因となっている。関係者は、エネルギー、輸送費、および鉄鋼や化学製品などの原材料価格の上昇を指摘した。
個人消費は、わずかに増加した。自動車を除く小売り支出はわずかに上昇し、アパレルやコンピュータが堅調な伸びを見せた。新車の販売台数はわずかに増加した。複数の関係者は、ガソリン価格の高騰が自由裁量支出を圧迫するのではないかと懸念を示した。
企業支出は、おおむね横ばい(flat)となった。設備投資額の変化はなかったが、関係者は、今後1年間で支出がわずかに増加すると予想している。様々な業界の複数の関係者は、経済見通しに対する不透明感から顧客が設備投資を遅延または保留していると報告したが、データセンターへの投資は影響を受けていないようだと指摘した。
製造業の需要は、緩やかに(moderately)増加した。化学、プラスチック、ゴムの生産はわずかに増加した。一次金属の卸売業者および製造業者は、防衛部門やデータセンター建設を支援する顧客に一部牽引され、需要が控えめに増加したと報告した。
地区内での2026年の農業所得の見込みは、報告期間中ほとんど変化はなかった(little changed)。気象条件や作付け状況にばらつきがあったが、作付けはほぼ予定どおり進み、ほとんどの作物は順調なスタートを切った。一方、肥料および燃料価格は高止まりし、関係者は高価格が続けば、秋から冬にかけて肥料コストがより大きな懸念材料になると指摘した。
個々の調査対象項目ごとの詳細は添付資料表参照。
(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。
(注2)アイオワ州、イリノイ州北部、インディアナ州北部、ウィスコンシン州南部、ミシガン州南部。
(注3)本稿に出てくる「関係者」とは、各地区連銀および支店の理事に加え、各業界の企業、地域団体、経済学者、市場専門家、そのほかの情報源を指す。これらの関係者へのインタビューやオンラインアンケートを通じて、管轄地区の現在の経済状況に関する情報を収集している。
(星野香織)
(米国)
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