米EPA、ハイドロフルオロカーボンの段階的削減を定めた規制を見直し

(米国)

調査部米州課

2026年06月08日

米国環境保護庁(EPA)は5月26日、家庭用エアコンや業務用冷凍庫などの冷媒に用いられるハイドロフルオロカーボン(HFC)の使用規制の見直しについて、最終規則を公表した。本最終規則は、7月27日に発効する。

本規制は、2020年に成立した米国イノベーション・製造法(AIMA)の技術移行条項に基づき、HFCの使用を全面的または部分的に制限し、段階的に削減することを目的に定められ、2023年12月に最終規則が発効した。

一方、EPAは2023年12月に発効した最終規則に対して、再検討や一部の規定の変更を求める要請を複数件受理していた。今回の変更はそうした要請に対応したもの。主な変更点は、次のとおり。

  1. 本規制によって、地球温暖化係数(注1)の上限値の適用が除外される冷蔵輸送用機器の庫内温度を引き上げ、温度の測定位置を変更。
  2. 特定の産業用チラーや半導体製造に使用される産業用冷却機器、冷却式実験用遠心分離機などに対する本規制の順守期限の延長。
  3. 冷蔵倉庫やコンデンシングユニットなどスーパーマーケットで使用される冷蔵設備の地球温暖化係数の上限値を2032年1月1日まで一時的に引き上げ。
  4. スーパーマーケットの冷却能力の引き上げを最大15%まで許可。
  5. 2025年1月より前に製造または輸入された住宅用および小規模商業用空調・ヒートポンプ機器に限り設置期限の撤廃。

EPAは、今回の変更を2025年3月12日に発表した米国人の生活費を下げるための環境規制の見直しの一環とし(2025年3月14日記事参照)、「本規制によりHFCを使用する製品やサービスの価格が上昇したが、今回の変更で米国民の生活費を可能な限り低く抑えることができる」としている。EPAの試算によると、規制の影響を受ける産業分野では2026~2050年で合計976ドル(注2)の製造コスト削減が見込まれるほか、半導体ウエハーの生産能力低下の回避や国家安全保障の強化といった効果も期待される。

(注1)二酸化炭素(CO2)を基準に、ほかの温室効果ガス(GHG)にどれだけ温室効果に寄与するか表した値。具体的には、GHGを使用する機器の温室効果の影響度合いを測る基準に用いられ、環境基準などに使用される。

(注2)コストの算出過程では、行政管理予算局(OMB)の指示の下、3%と7%の2つの社会的割引率(同じ財の価値の現在と将来の交換比率)が設定され、同数値は3%の社会的割引率に基づいた試算結果。

(小谷田浩希)

(米国)

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