インド、5月のインフレ率は上昇加速も目標圏内、食品と原油価格の動向が今後の焦点
(インド)
ムンバイ発
2026年06月22日
インド統計・計画実施省(MoSPI)が6月12日に公表した2026年5月の全国ベースの消費者物価指数(CPI、注1)
は105.91(速報値、2024年=100)で、前年同月比の上昇率は3.93%だった。前月(3.48%)から0.45ポイント拡大した。2026年に入ってから継続する上昇基調の中で、今回の数字は基準年を2024年に改定した2026年1月以降、最も高い伸びとなった(添付資料図参照)。
部門別では、食品インフレ率(注2)が4.78%と前月の4.20%から加速し、全体のインフレ率を押し上げる要因となった。地域別では、都市部のCPI上昇率は3.53%(前月比0.37ポイント増)、農村部は4.25%(0.51ポイント増)と都市、農村ともに前月から拡大した。農村部は食料品支出の比重が高いため、食品価格上昇の影響を強く受けたとみられる。特に農村部の食料・飲料品のインフレ率は4%台後半(4.64%)に達しており、所得水準の低い層を中心に実質購買力への圧迫が懸念されている。
インフレ率は依然として、インド準備銀行(RBI、中央銀行)が定める物価安定目標(4%±2%)に収まっている。しかし今後は、モンスーンの降雨状況や中東情勢を背景とした原油価格の動向が重要なリスク要因となる。降雨不足やエネルギー価格の高止まりが続けば、食品価格や輸送コストを通じて、さらなる物価上昇につながる可能性がある。インド経済は、低インフレ環境を維持しつつも供給要因によるインフレ圧力の高まりに直面しており、金融政策の判断においても注視が必要な局面にある。
アナンド・ラティ・グループのチーフエコノミスト兼エグゼクティブ・ディレクターのスジャン・ハジラ氏は、食品価格主導のインフレ率上昇は予想どおりとしつつ、「燃料価格の国内波及はまだ限定的」と指摘した。今後は、燃料コストが物流や投入価格に広がる「二次波及」が焦点で、それが進めば数カ月内にインフレ率が6%台に達する可能性を示唆した。(「タイムズ・オブ・インディア」紙6月12日)。
(注1)全国ベースのCPIは、基準年2024=100とし、農村部と都市部の各指数を加重平均したもの。
(注2)ここでは、CFPI(消費者食品物価指数)の上昇率を記載。
(野本直希)
(インド)
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