企業の業績見通しは楽観的、イラン情勢でインフレと通貨フリブニャ安は加速
(ウクライナ)
キーウ発
2026年06月11日
ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)は6月1日、5月のビジネス活動期待指数(BAEI)を52.1と発表した。3月の52.7、4月の51.7と続いて基準値となる50を超え、3カ月連続で楽観的な見通しとなった。
NBUの分析によると、電力供給の安定、国際金融支援の流入、消費者需要の回復、季節的要因などが企業の楽観的見通しを後押しした一方で、イラン情勢やロシアによる重要インフラへの集中的な攻撃を背景とする燃料価格の上昇、企業のオペレーションコストの増大、熟練労働者不足、為替見通しの悪化などが制約要因となった。
製造業、建設業、サービス業は好調な業績見通しを維持し、各企業は受注の増加と製造の拡大を見込む。一方で流通・販売業は、売上高の伸びの鈍化や為替変動などにより慎重な業績見通しを示す。全ての産業分野で購入価格や原材料・資材価格の伸びが鈍化すると予想し、販売価格の引き上げペースを緩やかにする意向を示した。労働市場の状況は依然として不安定で、建設・流通業では引き続き雇用増の傾向を示す一方で、製造業・サービス業は人員削減の傾向となっている。
インフレ率は2025年6月以降低下し、2026年1月は前年同月比7.4%となったが、2月以降上昇に転じ、同月は7.6%、3月7.9%、4月8.6%と上昇傾向にある。2月末の米国のイラン攻撃開始を背景とする有事のドル高、世界的な原油やエネルギー価格の上昇などが影響した。NBUはインフレの見通しについて、2026年内は上昇圧力が続くものの、2027年には低下軌道に戻り、2028年に目標とする5%に向かうと見込む。
2月末の米国のイラン攻撃開始以降続く通貨のフリブニャ安傾向は、3月のNBUによる約48億ドルの為替介入、4月には有事のドル高の影響が薄れたことを受け、4月9日に1ドル=43.38フリブニャまで持ち直した。しかし、米国のドナルド・トランプ大統領の発言やホルムズ海峡の情勢でドルが揺れるたびにフリブニャも変動する構図が続き、6月9日時点で1ドル=44.51フリブニャと安値を更新している。
5月のNBUによる為替介入は約31億3,500万ドルで、4月の約35億7,700万ドルから減少した。6月1日時点での外貨準備高は、前月初比で5.2%減の457億2,656万ドルとなり、輸入額4.7カ月分を賄う。
(高野茂)
(ウクライナ)
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