日本とフィリピン両政府、新日比租税条約に署名

(フィリピン、日本)

マニラ発

2026年06月11日

日本政府とフィリピン政府は5月28日、「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約(以下、新条約)」に署名した。新条約は、1980年に発効(2008年に一部改正が発効)した現行の租税条約を全面的に改正するもの。今後は両国で必要な国内手続き(日本では国会承認)を経て、承認を通知する外交上の公文交換の日から30日後に発効する。

主な改正点としては次の5項目。

  1. 事業利得に関する課税
  2. 投資所得に関する課税(配当、利子および使用料)
  3. 相互協議手続きおよび仲裁制度
  4. 情報交換および徴収共助
  5. 条約の特典の乱用防止

このうち、配当については、持ち分保有割合(注)に応じて5%、10%、15%の段階税率が導入された。例えば、90%以上の持ち分保有割合かつ6カ月以上保有する場合、フィリピンから日本への配当支払いに係る源泉徴収税は5%に軽減される。また、知的財産権を含む使用料についても税率が一律10%に軽減された。さらに、租税回避防止に関する相互支援、仲裁制度の新設、情報交換の強化なども盛り込まれ、国際的な税務ルールに沿った制度整備が進められている。新条約により、両国間の投資や経済交流の一層の促進が期待される。

フィリピン財務省(DOF)によれば、新条約は両国にまたがる所得に対する二重課税リスクを軽減し、企業活動に伴うコストの削減や税制の予見可能性の向上につながる。また、国境を越えた課税ルールの簡素化により、日・フィリピン間の貿易および投資にとって、より安定的かつ効率的な事業環境の構築が期待されている。

フィリピンのフレデリック・ゴー財務相は、「本協定は、より競争力が高く、予見可能で、投資に適した環境を整備し、質の高い雇用創出と持続的な経済成長を実現するというフィリピンのコミットメントを反映するものである」と述べている。

(注)持ち分は、日本法人支払いの場合は議決権、フィリピン法人支払いの場合は資本を指す。詳細は、日本の財務省「フィリピンとの新租税条約のポイント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照。

(葛原伯史)

(フィリピン、日本)

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