インドネシア、パーム油・石炭などの輸出を国営会社管理に、段階的に移行

(インドネシア)

調査部アジア大洋州課

2026年06月05日

インドネシア政府は5月31日、天然資源輸出の管理強化策として、パーム油、石炭、鉄合金(フェロアロイ)の輸出を段階的に、政府系ファンド「ダナンタラ」傘下の国営輸出会社ダナンタラ・スンベルダヤ・インドネシア(DSI)の管理下に移す方針を示した。

同措置は、プラボウォ・スビアント大統領が5月20日の国会本会議で表明した方針を受けたもの。対象3品目の2025年輸出額は計661億3,000万ドルで、総輸出額の23.4%を占める(5月31日付経済担当調整府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同大統領は、同方針について輸出価格の過少申告、移転価格操作、輸出代金の国外流出を防ぎ、税収や国家収入を最適化することが狙いとした。また、天然資源は国民と国家に帰属するものだとして、国家が輸出価格、数量、仕向け地を把握する必要があると強調した(5月20日付大統領府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

新たな輸出管理制度は6月1日から段階的に開始し、まずは各企業が従来どおり輸出を継続するが、税関総局の電子通関システム「CEISA 4.0(注)」を通じて輸出活動をDSIに報告する必要がある。政府は開始後3カ月間で制度運用を評価し、必要な見直しを行った上で、2027年1月1日から本格運用する予定だ。既存の輸出契約や海外取引先との関係に配慮し、輸出や物流を停滞させないかたちで段階的に制度を移行すると説明している(5月31日付「アンタラ」)。

産業界からは、新制度に対してさまざまな声が上がっている。インドネシア商工会議所(KADIN)は、DSIを通じた輸出管理が過少申告や移転価格操作の抑制、輸出ガバナンスの強化につながるとの見方を示した。一方、制度の円滑な運用に向けては、プラットフォームや運用体制の整備が重要だと指摘した(6月1日付「アンタラ」)。また、インドネシア経営者協会(APINDO)や鉱業、石炭、ニッケル、パーム油の業界団体は、新制度の趣旨に理解を示す一方、業界ごとの特性を踏まえた段階的な導入と制度運用の透明性、説明責任の確保を求めた。さらに、既存・長期契約に関する法的確実性の維持に加え、決済、船積み、保険、輸出代金の国内還流義務、国内供給義務など、実務面の詳細の明確化も要請している(6月1日付「ジャカルタ・グローブ」)。

(注)CEISA 4.0とは、インドネシア税関総局が運用する輸出入手続きの電子システム。輸出申告などの通関関連情報をオンラインで行うための仕組み。

(八木沼洋文)

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