台湾米国商会2026年版白書、経済安全保障やエネルギー・インフラなど4分野で提言

(台湾、米国)

調査部中国北アジア課

2026年06月26日

台湾米国商会は6月16日、2026年版の「台湾白書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。同白書は、在台湾の米国企業が直面する課題や解決に向けた提言をまとめたもので、台湾当局に2026年に解決を望む優先課題および提言、前年提言の進捗レビュー、米国政府への提言から成る。

今回の白書では、委員会単位の提言に加え、項目ごとに進捗を評価する手法を導入した。前年の提言237項目のうち、7項目が「解決済み」、49項目が「良好な進展」とされた。「観察中」または「停滞」とされた残りの約7割の項目について、同商会のアニタ・チェン会長は今後の対話を深めるための「貴重なベンチマーク」と前向きに評価した。

重点分野として、(1)経済安全保障と貿易・投資、(2)エネルギー・インフラ、(3)戦略的技術協力、(4)ガバナンス・人材政策、の4分野を挙げた。

(1)については、米国と連携し、相互貿易協定(ART)の円滑な履行を確保し、貿易・投資およびサプライチェーンの連携深化の可能性に言及した。また、外国人投資の承認プロセスを刷新し、投資環境を改善するよう提言した。さらに、政策立案や法規制における国際基準との整合性を求め、外交的孤立を理由に主要国の慣行導入が遅れるべきではないと強調した。

(2)については、エネルギーの自給と送電網の強靭(きょうじん)性を安全保障上の課題と位置付け、人工知能(AI)による需要増加や中東情勢に伴う供給・コスト圧力を背景に、エネルギーロードマップの更新を求めた。また、事業継続性や回復力を重視したデジタルインフラの整備を提言した。

(3)については、AI分野で重要な役割を果たすため、政策やインフラ、規制面からAI開発・活用のための包括的なエコシステムの構築や、ドローンなど非対称防衛システム(注1)における米国と台湾の防衛産業協力の促進に言及した。

(4)については、省庁間および中央・地方当局間の連携強化、リスクベースの規制導入など、規制環境の効率化を求めた。また、高度人材誘致のための税制優遇強化や、医薬品・医療機器の健康保険償還決定プロセスの透明性と予見可能性の向上を提言した。

また、前年版の白書から「完全に解決」と評価された7項目についても報告された。具体的には、化粧品分野における規制変更の情報伝達プロセスの改善、生命保険会社の配当還元メカニズムの調整、外国人材の就労許可や居留証申請手続きのオンライン化、輸入複合食品添加物の電子証明書の受け入れ、電子ビザ導入による入境手続きの簡素化などが挙げられた。

このほか、米国政府に対し、台湾が重要なサプライチェーン・パートナーであると強調し、ARTによる投資機会拡大を評価するとともに、二重課税回避法案(注2)の早期成立を求めた。

(注1)圧倒的な軍事力を持つ相手に対し、正面から大型兵器で対抗するのではなく、無人機や機動性の高い小型ミサイルなど、相対的に安価で破壊されにくい兵器を用いて効果的に防衛・抑止を図る戦略や装備を指す。

(注2)台湾と米国の間には租税協定がなく、二重課税の回避に向けた法案の早期成立が課題となっている。

(藤本海香子)

(台湾、米国)

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