東北地域初の量産グリーンメタノールの海上輸送開始、大連港がグリーン船舶燃料ハブ機能を強化
(中国)
大連発
2026年06月24日
中国・遼寧省大連市の大連港湾液体貯槽ターミナル(以下、VTD)で、中国東北地域初となる量産グリーンメタノールが6月17日、船積みされた。貨物船「雲翔68」号に積載されたグリーンメタノールは上海港へ輸送され、船舶用燃料として供給される予定だ。大連日報(大連市共産党委員会機関紙)は、今回の出荷は、大連市が進める北東アジアにおけるグリーンメタノールの中継・貯蔵拠点の構築が新たな段階に入ったことを示している、と報じた(「大連日報」6月20日)。
国際海事機関(IMO)が推進する海運業界の脱炭素化を背景に、グリーンメタノールは次世代船舶燃料として注目を集めている。重油と比べて温室効果ガス排出量の削減が期待できるほか、輸送・保管が比較的容易で、既存インフラとの親和性が高いことから、世界の海運会社による導入が拡大している(「大連日報」6月20日)。
大連市水素エネルギー産業発展促進協会が公表した情報によると、今回出荷されたグリーンメタノールは、上海電気(注1)が吉林省・洮南市(同省白城市傘下の県級市)で運営する風力発電・バイオマス実証プロジェクトで生産されたものだ。同プロジェクトでは、中国東北地域の豊富な風力資源に加え、農林業由来のバイオマス資源を活用し、再生可能エネルギー由来の低炭素船舶燃料を製造している。風力発電の地産地消と農林業廃棄物の有効活用を組み合わせることで、グリーンメタノールの高効率な開発・利用を実現している。
大連市は、海運業界の脱炭素化需要の高まりを受け、グリーン船舶燃料の中継・貯蔵・供給拠点の整備を進めている。VTDは、遼港集団(注2)傘下の液体化学品専門ターミナルで、大連地域で唯一、陸海一体の輸送サービスに対応する液体化学品の保管・中継拠点だ。なお、VTDは近年、グリーン船舶燃料事業を強化しており、同協会によると、2024年にはグリーンメタノール保管に関する国際認証「ISCC EU」を取得したほか、2025年には東北地域初となる保税グリーンメタノールの保管・積み出し業務を実施した。
遼寧省は同省の「国民経済社会発展第15次5カ年規画綱要」において、「北醇南運(注3)」の物流ルート整備と港湾のスマート化・グリーン化を重点施策に掲げている。そのような背景の下、大連市は東北地域で生産されたグリーンメタノールを華東・華南市場へ供給する物流ネットワークの構築を進めるとともに、上海市との連携強化を通じて、北東アジアのグリーン燃料サプライチェーンの中核拠点形成を目指している。
(注1)上海電気集団は、中国を代表する総合設備メーカー。発電設備、送配電機器、産業設備、新エネルギー分野などを手掛ける国有企業グループで、近年は風力発電、水素、グリーンメタノールなど再生可能エネルギー関連事業を強化している。
(注2)遼港集団は、遼寧省沿岸の大連港、営口港、丹東港などを統合して設立された中国東北地域最大の港湾運営会社。コンテナ、バルク貨物、原油・化学品ターミナルなどを運営し、東北地域の海上物流の中核を担う。
(注3)北醇南運とは、中国北部で生産したグリーンメタノールを南部沿海地域へ輸送・供給する物流ルート構想。
(李莉)
(中国)
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