フランス政府、最低賃金を引き上げる一方、雇用主負担の社会保険料の軽減措置は据え置き

(フランス、中東)

パリ発

2026年06月05日

フランス政府は2026年6月1日から、法定最低賃金(SMIC)を2.41%引き上げた。これにより、時給(額面)は12.02ユーロから12.31ユーロ、月給(同)は1,823.03ユーロから1,867.02ユーロとなる。一方で、政府はSMICの引き上げに連動する雇用主負担の社会保険料の軽減措置は据え置く意向だ。

SMICは原則、毎年1月1日付で、物価上昇と平均賃金の動向を踏まえて改定される。さらに、「インフレが急激に進行し、消費者物価指数が2%を上回った場合、年の途中でもSMICは消費者物価指数に連動して自動的に引き上げられる。引き上げは、同指数公表の翌月初日に適用される」と、労働法典第L3231-5条外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(フランス語)により規定されている。

フランスでは、中東紛争の影響による石油などエネルギー価格の高騰により、2026年4月の消費者物価指数は前年同月比で2.2%上昇、さらに5月には2.4%上昇と、インフレが進行していた。

一方、ダビッド・アミエル公共行動・公会計相は5月22日、通常SMICの引き上げに連動する社会保険料の雇用主負担の軽減措置を、軽減を補填(ほてん)する予算が組まれていないとして、今回は6月1日に改定されたSMICには連動させないと発表した。同措置は、低賃金労働者の雇用を促進し、企業の人件費を抑えることで競争力を高めることを目的とし、賃金がSMICの3倍未満の水準の場合に適用される。賃金が高額になるほど漸減する措置で、企業支援の重要な政策として実施されており、通常はSMICの引き上げに連動していた。

この結果、雇用主側は20億ユーロ以上の社会保険料を追加で負担することになるため、経営者団体は反対を表明している。中小企業連盟(CPME)は5月22日付のコミュニケで、「企業に賃上げと社会保険料の負担増を同時に求めることはできない。彼らにとっては、賃金の上昇分を負担せざるを得ない一方で、社会保険料の軽減措置は伴わないという二重の打撃だ」とし、「経済活動、雇用、ひいては購買力に悪影響を及ぼす」と批判した。フランス企業運動(MEDEF)も「これ以上、企業を弱体化させるべきではない」と訴え、賃上げと新規雇用の抑制につながり、さらには「従業員にも影響が及ぶ」と強調した。

一方、労働組合の労働総同盟(CGT)は5月22日、「今回のSMICの引き上げは、労働者のニーズからはほど遠い」とコミュニケで発表した。CGTはまた、社会保険料の軽減措置は国の負担が大きすぎるとし、社会保険料は給与の一部であり企業が負担すべきとして、雇用主負担の軽減措置の撤廃を求めた。また、「SMIC、賃金、年金、社会給付を引き上げ、それらを物価に連動させるべきだ」とした。

(クロティルド・クニッグスドーファー、奥山直子)

(フランス、中東)

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