ウクライナとモルドバのEU加盟交渉が本格始動
(ウクライナ、モルドバ、EU)
調査部欧州課
2026年06月15日
EUは6月12日、ブリュッセルで大使級会合を行い、ウクライナ、モルドバとのEU加盟に向けた具体的な交渉を15日にそれぞれ正式に開始することで合意した。両国のEU加盟については、2023年12月に欧州理事会が交渉開始を決定(2023年12月21日記事参照)、2024年6月に加盟に関する閣僚級会合が行われ、加盟交渉が始まった。今回の合意を受け、分野別での交渉が本格的に開始される。
発表に先立ち、欧州委員会のマルタ・コス委員(EU拡大、東方近隣政策担当)が6月8日、ウクライナのキーウを訪問した。同国のユリア・スビリデンコ首相をはじめとする政府関係者らと、ウクライナのEU加盟にかかる改革や、復興支援、欧州統合に向けた政治的・社会的支援などを議論した。
訪問の一環として、公開討論会「ウクライナの加盟:欧州の次なる拡大を実現するには」が開催された。カタリーナ・マテルノバ駐ウクライナEU大使の司会で、コス委員のほか、タラス・カチカ副首相(欧州・欧州大西洋統合担当)やウクライナ最高会議(国会)のオレクサンドル・コルニエンコ第1副議長らが登壇し、ウクライナが今後実現すべき取り組みや、同国のEU加盟による欧州の未来への影響などが議論された。
コス委員は基調講演の中で、ウクライナが6月中旬にも、EU加盟交渉の6つのテーマ別クラスターのうち、第1クラスター「ファンダメンタルズ」(注)に関する交渉開始という大きなステップを迎えるにあたり、着実な改革の実行の必要性について言及した。また、「ウクライナは欧州の一員であり、団結したウクライナは支援を受ける」と、EUの支援姿勢を強調した。タラス・カチカ副首相は、すべての交渉クラスターを開放するための準備作業の大部分を完了しており、本格的な交渉への移行、および、改革の継続が重要だとコメントした。
ウクライナのスビリデンコ首相は自身のSNSで9日、第1クラスターの交渉が開始される政府間会議が15日にルクセンブルクで開催される予定であることに触れ、政府や議会に対し、EU加盟を促進するために必要な法案の採択など、さらなるステップについて指示したとコメントした。
ウクライナは8日、最大500億ユーロの支援枠組みである「ウクライナ・ファシリティー」から、第7トランシェ(分割支払い)として28億ユーロを受領した。500億ユーロのうち約380億ユーロは、ウクライナの経済復興やEU加盟に向けた改革などに関する指標の達成を条件に支出される。EU理事会のプレスリリース
(5月28日)によると、同国は第5、第6トランシェの拠出に必要な改革を完了させたほか、第8、第9トランシェの拠出に求められている一部の改革も完了しているという。
(注)EU加盟には、EUの「コペンハーゲン基準」に示された、(1)政治的基準、(2)経済的基準、(3)法的基準を満たす必要がある。(3)では、35章からなるEU法の総体系「アキ」に国内法を整合させる必要がある。加盟交渉の効率化のため、「アキ」は6つのクラスターに分類されている。
(柴田紗英)
(ウクライナ、モルドバ、EU)
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