カスト政権、サーモン養殖業の許認可プロセスの迅速化・明確化で投資促進を図る
(チリ)
サンティアゴ発
2026年05月11日
チリのホセ・アントニオ・カスト大統領は5月6日、南部ロス・ラゴス州フルティジャール市で「SalmonChileサミット2026」に参加した。同サミットは、チリの主要産業の1つであるサーモン養殖業の課題や機会を官民で議論するハイレベル・フォーラムで、今回が3回目の開催となった。
大統領は演説の中で、サーモン養殖業がチリ南部の経済的・社会的発展において果たす重要性を強調した。とりわけ雇用、技術革新、輸出の各分野で果たしてきた役割を高く評価するとともに、競争力の強化、投資促進、持続可能な成長を推進する上で、官民の協働が不可欠との認識を示した。
カスト大統領は労働者に向けて、自らの仕事に誇りを持つよう呼びかけ、「ここから航空機で直接運ばれる、あるいは長い旅に出る一切れのサーモンは、単なる魚の切り身ではない。それは東京、パリ、ニューヨークに届くまでに積み重ねられた一人ひとりの仕事そのものであり、海外でわれわれを代表する『小さなチリの一部』である」と述べた。また、「目に見える製品の背後には何千もの家族の努力があり、それは単なる魚の切り身をはるかに超えた価値を持つ」と強調し、産業を支える人々への敬意を示した。
サミットには、ダニエル・マス経済兼鉱業相、フランシスカ・トレド環境相も出席した。マス経済兼鉱業相は、経済成長、雇用創出、チリ南部地域の発展にサーモン養殖業が果たす役割を強調する一方、これまで同産業の成長が経済発展や環境保護の対立概念として捉えられてきたと指摘。その上で、両者は両立可能であり、同時に前進させるべきであると強調した。また、近年の過度なイデオロギーや法的確実性の欠如、複雑で長期化する許認可手続きなどが投資を阻害してきたとの認識を示し、政府としてルールを明確化し、規制プロセスの予見可能性を高め、手続きを簡素化して、投資を具体化させると述べた。
トレド環境相は、環境制度における期限順守の重要性を強調し、投資プロジェクトの環境認可終了後、最長15営業日以内に最終決定を公表する方針を示し、従来と比べ約6カ月の期間短縮を実現すると述べた。手続きの迅速化は要件の緩和を意味するものではなく、技術的責任を伴った質の高い事業計画の提出が前提となる点を強調した。
チリは現在、ノルウェーに次ぐ世界第2位のサーモン生産国。2025年のサーモン輸出額は65億5,000万ドルに達した。これはチリの輸出総額の約6%を占め、直接・間接を合わせて8万6,000人以上の雇用を創出している。
(高橋英行)
(チリ)
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