ヤカール・テランガ天然ガス鉱区、米企業は撤退、国営石油会社が単独ライセンス取得へ

(セネガル、米国)

アビジャン発

2026年05月11日

セネガルのウスマン・ソンコ首相は4月23日、同国沖のヤカール・テランガ天然ガス鉱区について、米国石油会社コスモス・エナジーとセネガル国営石油会社ペトロセンが、開発ライセンスから共同撤退することで合意し、正式な手続き後に、単独ライセンスがペトロセンに付与されると発表した。同鉱区はダカール沖約60キロに位置する世界最大級の天然ガス田で、埋蔵量は約25兆立方フィート(約7,075億立方メートル)と推定される。ソンコ首相は、同鉱区が前政権下において、サンルイ沖鉱区とともに不透明な条件で開発ライセンスが付与された経緯があり、今回セネガルが金銭的負担を負うことなく同鉱区を取り戻したことは、長年の政治的取り組みによるものとの見解を示した。

同鉱区では2023年の英国石油大手BPの撤退後、コスモス・エナジーとペトロセンが新たなパートナーを探し、セネガル政府が掲げる「ガス・トゥ・パワー(gas-to-power)」「ガス・トゥ・インダストリー(gas-to-industry)」戦略に沿い、国内市場へのコスト競争力あるガス供給と、輸出向け液化天然ガス生産を組み合わせた開発案を検討してきた。しかし、コスモス・エナジーは2025年3月、適切なパートナーが見つからず、商業的に魅力ある開発コンセプトで政府と合意できなかったとして、ライセンス有効期限である2026年7月を前に撤退の意向を示していた。

ペトロセンの最高経営責任者アリウエ・ゲイエは、今回の決定はセネガルのエネルギー主権の確保に関わるとし、このガスは国内市場を優先すべきで、それにより発電コストが半減し、企業の成長や雇用の創出につながると強調した(4月27日付「セネウェブ」)。

一方、専門家は、ペトロセンの単独ライセンス取得は国家のエネルギー主権を高める一方で、複雑な深海プロジェクトに必要な資金調達、技術力の確保、実行においてセネガル政府の負担が増大するとの懸念を示している(4月26日付「ビジネス・インサイダー・アフリカ」)。

政府は2024年8月、前政権下で締結された外国企業との契約がセネガルにとって不利な条件であるとの認識から、監査、再交渉のための委員会を設置しており(2024年8月20日付「ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)」)、ソンコ首相は他の契約についても再交渉し、必要な対応を講じることを強調した。

なお、コスモス・エナジーは、セネガルとモーリタニア両海域をまたぐ海底ガス田「グラン・トルチュー・アハメイム(GTA)」プロジェクト(2025年3月19日記事参照)については、ペトロセンや他のパートナーと共に事業を継続する。

(長屋幸一郎、橘欣子)

(セネガル、米国)

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