欧州産業界、EUに対し製造業の域内生産振興イニチアチブの策定を要請
(EU)
ブリュッセル発
2026年05月11日
欧州工作機械工業連盟(CECIMO)など欧州の83の産業団体・企業・研究機関(注)は4月15日、製造業のEU域内生産振興イニシアチブの策定を要請する提言書
を発表した(プレスリリース
)。
EU経済の根幹をなす製造業は、EUの戦略的自律や安全保障、質の高い雇用と長期的な繁栄の基盤でもある。しかし、世界的な産業競争が激化する中、主要各国は技術的主導権の確保や自国の製造能力の強化に向け、大規模な産業政策を実施。先進製造技術や産業投資の面でも競争環境は厳しさを増し、EUの製造業は供給制約の課題も抱えている。そのため、EUが競争力と技術主権を維持するには、先進製造技術分野で主導的立場を強化する必要があるとした。
EUの2028~2034年を対象とする次期中期予算計画(MFF)案(2025年9月9日記事参照)では、競争力強化に向け、研究開発支援枠組み「ホライズン・ヨーロッパ」および欧州競争力基金が主要財源に据えられた。そこで、こうした枠組みと一体化した総合的かつ大規模な「域内産(Made in Europe)」イニチアチブを策定し、関連施策の迅速な実施や、中小企業を含めた産業界、研究機関や行政機関の緊密な連携が必要と訴えた。また、研究開発分野での戦略的優先課題を特定し、研究、イノベーション、産業の3政策分野を横断する取り組みの策定を要請した。特定された5つの優先策は次のとおり。
- 研究開発の初期段階から実用化・大規模生産までを支援対象とし、域内の製造イノベーション・エコシステムを強化。
- 重要鉱物の域外依存低減、危機への耐性と再構築可能な生産体制の確立、設備・データ分野の技術主権の確立。
- 原材料回収・リサイクル技術の開発、製品寿命の延伸などを通じた、循環性と気候中立の実現に資する生産体制の構築。
- 分野横断的な連携とイノベーションを実現しながら、製造ノウハウ、知的財産およびサイバーセキュリティをー保護する信頼性が高いデータインフラを活用し、人工知能(AI)を用いたソリューションの開発・展開など、デジタル化やAI活用の推進。
- デジタル・AI関連スキルを有する高度人材の育成や人口減少を見据えた自動化の推進、および人間中心の応用技術の展開。
(注)製造業での革新的な新技術の開発促進、競争力強化に向けた生産技術の研究を目的とする「欧州未来の工場研究協会(EFFRA)
」に参加している83社・団体。
(滝澤祥子)
(EU)
ビジネス短信 f44c11d3e1a9bc0e





閉じる