モディ首相、国民に対して外貨流出抑制のための節約を呼びかけ

(インド、中東)

ニューデリー発

2026年05月14日

インドのナレンドラ・モディ首相は5月11日、訪問先のグジャラート州で行った演説で、中東情勢の混乱に起因した原油価格高騰で進行する外貨流出の抑制を目的に、国民に対して、石油関連消費の節約や金(ゴールド)の買い控えなどを呼びかけた。

演説ではまず、中東情勢について、この10年間に発生した最大の危機の1つとし、国民が協力して乗り越えていく必要があるとした。エネルギーの消費削減に向けては、公共交通機関の利用や在宅勤務、オンライン授業の実施を推奨したほか、海外旅行や海外での結婚式も控えるよう求めた。また、食用油に関しても多くを輸入に依存しているとして、外貨流出抑制と健康促進のために使用量を減らすよう訴えた。農家に対しては化学肥料の使用量を減らし、自然農法に転換するように求めた。さらに、外国からの輸入製品全般について、地場製品に置き換えるように求めた。

また、金の輸入は莫大(ばくだい)な外貨流出の原因になっているとして、状況が正常化するまでは金の購入を延期するように求めた。あわせて、インド財務省間接税関税中央委員会(CBIC)は5月12日付で、金と銀に対する輸入関税の引き上げを通達した。これにより、金と銀に対する基本関税(BCD)に農業インフラ税(AIDC)を加えた実行税率は、従前の6%から15%に引き上げられた。中国に次ぐ世界2位の金の消費国であるインドでは、資産として金が好まれるほか、結婚式や宗教的な行事の際に金のアクセサリーを購入する文化が根付いている。

2025/2026年度(2025年4月~2026年3月)のインドの輸入品目(金額ベース)は、1位が「原油」で1,344億5,490万ドル(構成比17.3%)、2位が「金・銀」で845億7,890万ドル(同10.9%)だった。特に「金・銀」については前年度比で34.8%増加しており、近年の金価格の上昇と需要拡大を背景に、貿易赤字が一段と拡大する状況が続いてきた。これに加え、中東情勢の不安定化による原油価格の高騰が重なり、輸入額は拡大している。こうした中、インド通貨ルピーは下落基調で推移しており、5月12日には過去最安値を更新した。為替介入に伴う負担も大きく、インド政府は外貨準備高の減少に対する警戒感を強めているものとみられる。

(丸山春花)

(インド、中東)

ビジネス短信 f38c34482c5b4c46