タイ政府、エネルギー構造改革などへ4,000億バーツの借り入れ承認
(タイ、中東)
バンコク発
2026年05月11日
タイ政府は5月5日の閣議で、中東情勢の悪化により生じたエネルギー危機に対応するとともに、エネルギー転換を促進するため、財務省に4,000億バーツ(約2兆円、1バーツ=約5円)の借り入れ権限の付与を承認する勅令案を承認した。
政府発表によると、中東情勢によりタイ経済は、エネルギー価格や食料、またさまざまな商品価格の上昇、国民の購買力の低下と相次いで影響を受けている。結果、経済成長の鈍化と高インフレが同時に起こるスタグフレーションに陥るリスクがあると指摘した。さらに、タイはエネルギーの輸入依存度が高い国の1つであるため、経済安全保障の観点から、エネルギーの過度な輸入依存から、早急な脱却が必要と述べた。
一方、既存予算での財政措置や通常の予算策定プロセスでは、こうした問題に対応するため、迅速性、柔軟性、規模の点で十分とは言えない。そのため、内閣の承認を得て、最大4,000億バーツまで借入可能とする権限を財務省に付与することが承認された。
借入金の使途、金額については、次の2つが予定されている。
- 低・中所得者、農家、中小企業を重点対象に、コスト削減による生活・事業継続のための直接的支援:2,000億バーツ。
- 環境に優しい車両の支援などクリーンエネルギーへの構造改革や新経済を支える技能とイノベーション開発:2,000億バーツ。
また、借入資金の使途を審査する財務事務次官を委員長とする委員会が設置され、審査に当たって、資金利用の効率性と適合性を確保するための基準として「5T原則」(注)を定めた。
エクニティ・ニティタンプラパス副首相兼財務相は、「勅令案は、短期的に経済を安定させ、エネルギー構造変革の効果により企業と家庭のコストを削減し、エネルギー安全保障を高め、投資を呼び込むことができる。国民の救済と構造的課題解決を同時に実現するものだ」と説明した。また、「ネーション」紙(5月5日付)によると、エクニティ財務相は、財政の持続性への影響について、借入によりGDP比公的債務残高は増加するものの、法定上限の70%は下回ることを確認したと述べた。
(注)「5T原則」とは、Target(的確な対象への資金投入)、Transition(エネルギー転換の加速)、Transformation(構造変革を推進)、Transparent(透明性と監査可能性)、Together(全部門の協働)を指す。
(野田芳美、ピンラウィー・シリサップ)
(タイ、中東)
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