在外インド市民の在留・身分制度を大幅改正
(インド)
ムンバイ発
2026年05月12日
インド内務省は4月30日、「市民権(改正)規則2026
」を公布し、在外インド市民(Overseas Citizenship of India:OCI)制度を全面的に見直した。今回の改正は、手続きの完全デジタル化や電子OCI(e‑OCI)の導入などを柱としており、国外居住のインド系外国籍者への影響が見込まれる。
OCIとは、インド政府がインド系外国籍者に付与する在留・身分制度のことを指す。OCIはインド国籍そのものではないため、選挙権や公職就任などの政治的権利は認められていないが、「生涯有効の長期在留資格」となっている。このため、OCI保持者は、原則インドでの無期限滞在・就労・就学が可能であり、入国時にビザを取得する必要もない。取得対象者(一部抜粋)は、「現在または過去(注)にインド国籍を有していた者」「OCI保持者の配偶者」などに限定される。
今回の改正の主な内容は、OCIの申請、更新、返納手続きを全てオンラインで完結可能となった点だ。従来の書面提出や在外公館での煩雑な手続きは原則不要となり、公式OCIポータルを通じて電子的に処理される。また、物理カードに代わりe‑OCIが発行されるため、インド出入国時の原本カードの提示が不要となる。一方、手続きの利便性向上と引き換えに、申請者には生体認証(顔画像や指紋など)に関するデータ共有の同意が求められる。これは、将来的に導入が進むファスト・トラック入国制度との連携を見据えた措置とされる。政府はあわせて、OCI関連手数料の改定も実施した。
また、2015年に見直しが発表されたPIO(Person of Indian Origin:インド系出身者)カード制度は完全に廃止され、既存のPIOカード保持者は自動的にOCIへ移行されることとなる。なお、OCI保持者であっても、一定の重大犯罪で有罪判決を受けた場合、OCI資格は取り消しとなる。今回の制度改正により、移民・在留管理の効率化と安全性の向上が見込まれる。
(注)インド憲法施行日の1950年1月26日時点、またはそれ以降に限る。
(野本直希)
(インド)
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