ASEAN経済相ら、中東情勢への対応や貿易円滑化と備蓄活用を確認
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール、中東)
ジャカルタ発
2026年05月08日
ASEAN経済共同体(AEC)理事会は4月30日、緊迫化する中東情勢に伴う域内経済への影響と対応を協議するためオンラインで会合を開催し、共同声明を採択
した。会合にはASEAN11カ国の経済担当閣僚やカオ・キムホンASEAN事務総長らが出席した。
共同声明では、世界の石油・液化天然ガス(LNG)の海上輸送の約4分の1が通過し、その8割以上がアジア向けであるホルムズ海峡の混乱が、世界のエネルギー安全保障に深刻なリスクをもたらし、石油・LNG価格の持続的な変動を助長し、運賃、保険料、物流コストを急激に上昇させていることに対し、深い懸念が表明された。エネルギー価格の変動や物流コストの上昇は域内のインフレ圧力を高めており、国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく航行の自由と安全な海路の維持が不可欠であるとの認識で一致した。
エネルギー安全保障の強化に向けては、供給源の多様化や再生可能エネルギーの開発加速に加え、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が提案する「地域共同石油備蓄」に関する調査の検討が盛り込まれた。また、特に重要な作付けの季節を控えて、エネルギー価格高騰に伴う肥料価格の上昇が農業生産に及ぼす影響を重視し、危機時における「ASEANプラス3緊急米備蓄(APTERR)」(注)などの活用や、肥料の入手可能性、サプライチェーン情報の共有強化の必要性が示された。
貿易面では、危機下においても不必要な非関税障壁を導入しない姿勢を再確認した。具体的には、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)第2次改正議定書の2026年内の迅速な批准と適時の発効を目指すほか、「ASEANシングルウィンドウ」の対話パートナーへの拡大などを通じ、必需品の円滑な移動を確保する方針を示した。
さらに、中小零細企業(MSME)を含むASEAN企業の支援として、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の最大限の活用や、ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の2026年内署名を目指すなど、ASEANの経済協定を活用した貿易・投資の多様化の取り組みを強調した。
(注)ASEAN10カ国と日中韓による食料安全保障の枠組み。災害や価格高騰などの緊急時に主食のコメを融通し合う仕組み。日本は、(1)政府米を活用した現物備蓄事業、(2)拠出金を活用した現金備蓄事業を通じた災害対策や貧困緩和対策を支援している。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール、中東)
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