ラオスのインフレ率が12カ月ぶりに2桁台、原油高と通貨安が主因
(ラオス、中東)
ビエンチャン発
2026年05月07日
ラオス統計センターが4月24日に発表した消費者物価指数(CPI)によると、2026年4月のインフレ率(前年同月比)は10.2%となり、前月の9.7%から加速した。これは2025年4月以来12カ月ぶりに2桁台に達する高水準だ。前月比では2.0%となった。
品目別上昇率をみると、運輸・エネルギー関連を中心に上昇が顕著だった。前年同月比では、「その他商品・サービス」が34.4%で、このうち装飾用金価格(63.2%)が主な押し上げ要因となった。「運輸・通信」は23.7%で、内訳では燃料価格が2.4倍、輸送サービスが52.0%だった。「住居・水道・電気・調理用燃料」は19.4%上昇で、電気料金(53.3%)や水道料金(45.8%)が大きく寄与した。このほか、「保健・医薬品」も13.7%となった。
インフレ加速の最大要因は、中東情勢の不安定化を背景とした国際原油価格の高騰だ。3月23日から4月23日の間に、WTI原油価格(注)は8.8%上昇した。これを受け、ラオス国内では4月中に計8回の燃料価格改定が実施され、ガソリン(レギュラー)は24.4%、ディーゼル燃料は54.6%の大幅な値上げが行われた。
また、現地通貨キープの下落も物価上昇圧力を再び強めている。対米ドルでは、3月末の1ドル=2万1,509キープから4月22日には2万2,133キープへと2.9%下落した。こうした為替変動を背景に、輸入品のインフレ率は13.5%に達し、国内生産品のインフレ率の8.6%を大きく上回った。コスト増はサービス価格にも波及しており、航空運賃やバス運賃の引き上げのほか、ごみ収集料金が1袋当たり1万キープから2万キープへ引き上げられるなど、市民への直接的な負担が拡大している。
一方、ラオス統計センターが別途発表した2026年第1四半期のGDP成長率(速報値)は、前年同期比5.5%と堅調だった。分野別成長率でみると、建設(7.1%)や電力(4.8%)が成長を牽引している。ただし、足元のインフレ動向は、好調な経済成長の恩恵を相殺しかねないリスクをはらむ。2026年第2四半期の成長率を4〜5%と予測しているものの、国際的な政治・軍事的緊張、エネルギー価格の動向、為替の不安定性などが引き続きラオス経済の不透明感を高めている。
(注)WTI原油価格とは、米国産の代表的な原油であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が、主にニューヨーク市場において、1バレル当たりいくらで取引されているかを示す国際的な原油価格指標。
(山田健一郎)
(ラオス、中東)
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