ラオスのプラスチック回収クレジット事業、米ベラ(Verra)の認証を取得
(ラオス、米国)
ビエンチャン発
2026年05月27日
ラオスの首都ビエンチャンを拠点とする廃棄物管理プロジェクト「LaoRefuel」は5月13日、米国の環境価値認証機関ベラ(Verra)の「プラスチック廃棄物削減プログラム(PWRP)」の登録を完了し、初年度モニタリング期間(2024年4月~2025年3月)において、プラスチック回収クレジット(WCC、注1)計794トンの認証を取得した。
WCCは、適切に回収・管理されたプラスチック廃棄物1トンを1単位とする譲渡可能な証明書で、カーボンクレジットと同様にシリアル番号が付与され、Verraの公開レジストリで管理される。発効には厳格な「追加性(注2)」の充足が求められ、クレジット収入がなければ、回収事業が財務的・制度的に実現し得なかったことを示す必要がある。購入・償却する企業は、他地域で回収されたプラスチック量(WCC)を自社での使用に伴う環境影響を埋め合わせるかたちで対応できる。
同プロジェクトは、日系企業Green & Blue Planet Solutionsと加山興業の現地法人Lao Kayama、ラオス企業Savan EMCの3社が実施主体。クレジット計上期間は2024年4月から2031年3月までの7年間(さらに2回の延長可)で、累計約1万6,700トンの回収を見込む。創出クレジットは在タイ日系企業などを中心に相対取引される見通しだ。
ビエンチャンでは急速な都市化に伴い、都市固形廃棄物は2030年に日量1,512トンへ増加すると予測される一方、現状ではその過半が適切に収集されていない。収集された廃棄物も、適切な処理機能を欠く「KM32最終処分場」で開放投棄されており、土壌・水質汚染や、焼却に伴う深刻な大気汚染が公衆衛生上の課題となっている。
LaoRefuelは、産業活動から排出されるプラスチック廃棄物を、廃棄物固形燃料(RDF、注3)として再資源化し、セメント工場で石炭代替燃料として利用することで、化石燃料由来の二酸化炭素(CO2)排出を年間約4,700トン削減する効果が見込まれる。プラスチック汚染対策と産業部門の脱炭素化を同時に実現するモデルの1つといえる。
同事業は、ラオスの脆弱な廃棄物管理インフラに対し、市場メカニズムを活用した持続的な資金調達手法を提示しており、高いトレーサビリティーを持つWCCは、企業のESG戦略(注4)における新たな環境価値として関心が高まっている。
RDF生産ライン(Lao Kayama提供)
(注1)プラスチック回収クレジット(WCC:Waste Collection Credit)とは、環境中から回収され、適切に管理されたプラスチック廃棄物1トンを1単位とする譲渡可能なクレジットのこと。プロジェクト活動がない「ベースライン」の状態と比較して、追加的に回収・処理されたプラスチックの重量に基づいて認証される。
(注2)「追加性」とは、「クレジットによる資金調達がなければ、そのプロジェクト活動(プラスチックの回収やリサイクル)が実施されなかったこと」を客観的に証明するもの。プロジェクトが法的に義務付けられていないこと、一般的に普及していない取り組みであることなどの基準が設定されている。
(注3)廃棄物固形燃料(RDF:Refuse Derived Fuel)とは、家庭や工場から排出される廃棄物を、選別、破砕、乾燥などの工程を経て、燃焼に適した形状に固形化した燃料のこと。LaoRefuelプロジェクトにおいては、主に産業施設から回収されたリサイクル困難なプラスチック廃棄物を原料として製造されている。
(注4)ESG戦略とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を重視した持続的な成長と企業価値の向上を目指す企業経営の方針のこと。
(山田健一郎)
(ラオス、米国)
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