AIの普及がもたらす実店舗の再定義、明確なミッションが不可欠、調査レポート
(米国)
ニューヨーク発
2026年05月08日
国際ショッピングセンター協会(ICSC、注1)とコンサルティング企業マッキンゼー・アンド・カンパニーは4月27日、「人工知能(AI)時代のショッピング:新時代の店舗の再定義」と題した調査レポートを公表
した。本レポートでは、AIの自律化がもたらす変革を分析し、実店舗の価値を再定義するための戦略的フレームワークを提示している。
ICSCの社長兼最高経営責任者(CEO)のトム・マクギー氏は、「このレポートは、小売業者と不動産所有者に機会を提案している。高度な知的技術があふれる環境の中で際立ち、消費者を店舗や商業施設に引き付けるためには、実店舗の明確なミッションが不可欠だ」「AIがショッピング体験を変革し、顧客の期待がますます高まる中、小売業者と商業不動産(CRE)のリーダーは、ポートフォリオ内のすべての店舗が明確な戦略的目的に沿って運営されるよう、規律ある意図的な投資を行う必要がある」と述べた(ビジネス・ワイア4月27日)。
全米小売業界(NRF)とIBMによる共同調査(注2)によると、小売企業やブランドが、AIによる相乗効果を最大化し持続的な成長を実現するためには、技術的な基盤構築が不可欠だと指摘する。標準化されたAI統合により、幹部の73%が「全チャンネルを横断したシームレスかつインタラクティブな顧客体験」の実現を確信しており、67%が動的価格設定(ダイナミック・プライシング)や会話型チェックアウトといった「AI主導のコマース・イノベーション」が加速すると予測している。しかし、AI統合の進展には依然として深刻な障壁が存在する点も指摘する。特に「データの質」や「誤認リスク」「エコシステムの未整備」「ガバナンスの欠如」といった課題がブランドの足かせとなり得る。今後、エージェント型コマース(注3)が普及するにつれて、分断されたデータ構造や、不透明なデータソースは、AIが安全かつ最適な意思決定を行う上での潜在的なリスクとなり得る。
AIを活用した顧客体験(CX)プラットフォームを提供するインサイダー・ワンのマーケティング・ブランド・コミュニケーション担当副社長のクリス・ボールドウィン氏は、Eコマースの競争激化で顧客維持の方法を根本的に見直す必要性が高まることや、在庫最適化などのコスト削減が不可欠となることなどで、小売業界は2026年にAI導入を加速させると予測する。
(注1)米国の商業不動産および小売業界を代表する会員制組織。公共政策の形成に向けて積極的に提言活動を行う。
(注2)2025年第3四半期に消費者1万8,000人以上と経営幹部200人を対象に、AI活用ショッピングに関するグローバル調査を実施。
(注3)AIエージェントが利用者や企業に代わって購入の判断を自律的に行うEコマースモデル。
(樫葉さくら)
(米国)
ビジネス短信 d6083e11d415a2b8





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